会社には都合の良い、個人にとってはつらい・・・そんな出向と言う制度がある。

『そうかぁ~。この会社かあ~。』想像はしていたが随分古い工場で少し気が滅入った。▲なかなか足が前に進まない。覚悟はしていたが、体がついてこない。▲これではいけない。そう思い直し、前にあるのコンビニに入り、栄養ドリンク剤を一気飲みした。▲自分流の気の入れ直しであったが、効果は上がらなかった。▲思い足を引きづりながら、工場(実はここが本社だった)のドアを開けた。▲階段を上がり、経理部のある三階に上がった。▲決して綺麗ではない、薄暗い部屋(私にはそう見えた)に通された。▲責任者の方への挨拶も終わり、私の仕事場となる机に案内された。▲な・なんと、狭い、狭すぎる。足を行儀よく入れないと入れないような狭さであった。パソコンを置いたら、他に何も置けない。それにしても汚い。昨日まで工場の片隅に置いてあったのだろう。油で汚れていた。

 

『これが、他社から支援にきてもらう者への対応なのか?』

 

一変に「出向」の厳しさを突き付けられた思いであった。

 

そう、私は、他社からの出向で、この会社に来たのである。今、その初出勤の時を思い出している。▲時は2001年8月52歳であった。▲この日から、私の、戦いが始まったのである。▲今、振り返れば、いいことも沢山あった。▲『出向はチャンスでもある。決して悔いることはない。』・・・・これが、私の言いたいことである。▲・・・が、これは、厳しさを通り越した先にあるものであり、その前にへこたれてはならない。▲今、出向で頑張っておられる方『どんな厳しくとも、その先には成功がまっている』▲現に、自分は沢山のチャンスに恵まれ、前会社では決して経験できなかっただろう、いくつもの、貴重な体験をさせてもらった。そのチャンスに挑戦し続けてきた甲斐があり最後には「専務」までたどり着くことができた。▲たぶん、能力よりも、その必死な姿を評価してくれたものと思う。

 

出向で頑張っている方も、今の苦労にへこたれないで欲しい。そんな思いを込めて、私も味わった、ギャップ感と、苦しさを、もう少し書いておきたいと思います。

 

つづく