株価に影響しない中期計画なんて、何処かおかしい。

この程、中期計画の発表で、株価を大きく上げたケースに遭遇した。それは、ある電機メーカーのものであった。▲電機業界と言えば、過っては、日本の成長を牽引する代表格の産業であったが、いつしか、海外メーカーの台頭により、すっかり色褪せてしまっていた。▲私の保有する株式も、もう20年以上塩漬けになっていた。それが、最近、息を吹き返してきたのである。この上昇は、中期計画の発表が契機だった。

 

この中期計画とは、いったいどんなものであったか。▲私は早速、その会社のホームページで、中期計画の概要を確認した。▲それは、成長の道筋がセオリー通り、一定の流れで示されていた。▲わかってはいるが、これだけの項目を、要領よく、示すことは、さぞかし大変だったろうと感心させられた。▲思わず心の中で拍手を送った。▲それは、社内にある「真逆の意見」や、「策定プロセスを理解できない人の意見」など、実に多くの意見を、このように、一つの「成長への道筋」として、まとめた上げた努力への拍手であった。

 

ここで、この電機メーカーの中期計画を見ながら、その策定にあたっての「あるべき姿」を考察してみたい。

 

まず一つ目に、この計画が「業績向上に主眼」を置いたもので、かつ、各項目が「目標達成に向けて1本の軸」が通っていることである。▲つまり、業績を軸にして、この会社をどうしていくかが明確に示されているのである。標語的なことを、ぐちゃぐちゃ言わず、はっきりと「5年後の姿」を示しているのである。

 

次に2つ目であるが、目標を達成させるための戦略の内容である。製・販・技をどう変えていくかが明らかになっているのである。成長は現状の延線上には絶対ありえない。改革があって初めて成し得るものである。だからこそ、製・販・技をどう変えていくかが大きなポイントになる。それをが、はっきり示されているのである。

 

三つ目は、どの事業を伸ばしていくかが、明確になっていることである。▲どの事業も「一律ではない」はずである。既に成熟期や、衰退期に入っている事業もあるだろうし、今後、市場が拡大していく「将来の花形事業」もあると思う。▲これらを一律に論ずることは決してできない。しかも、自社の強みも、競合状態も、事業ごとに異なるだろうから、同じ戦略であるはずがない。これが明確に事業ごとに分けて戦略が示めされていた。

 

4つ目は、戦略ごとに、収益貢献度が示されていることである。財務を担当する自分は、ここが、一番の苦労の多かった部分である。戦略と効果が、しっかり、紐ついていなければならない。▲これが、しっかりできていないと、「戦略は達成したが、収益目標は達成できなかった」・・・みたいな、変なことが起きる。▲事業報告では「各戦略は着実に遂行している」・・・と言いながら、決算報告では「目標未達成」と言わなくてはならないようなことになる。▲こんな状態では期間途上で「修正報告」すべきか、どうか、などは言えない。▲11-29の記事「中期計画は作るも大変、作った後も大変」で書いた「作った後の大変」の部分である。

 

最後に5つ目であるが、戦略遂行に必要な経営資源の投下計画が示されていることである。▲どんな戦略にも、資金と人材が必要になる。これが、どの程度必要になるかが明確にされており、且つ、その調達が可能であることがはっきりと分かるのである。▲中期計画とは真に「経営資源をどこに投下させるかを決定するための計画に他ならない」のである。

 

どうでしょうか。あなたの会社は、これらの「良き中期計画たるための条件」を明確にクリアーしていますか?。▲自分の会社のことは、なかなか分かりにくいものです。そんな時は、株価を見ることです。▲もし、あなたの会社が中期計画を発表しても「株価が上がらなかったら」・・・・きっと、どこかに問題があるはずです。▲投資家や、アナリストは、中期計画を真剣に評価しています。企業トップが示した「コミットメント」を、おろそかにするはずがありません。▲株価に影響を与えないような中期計画でしたら、すぐ、見直すべきです。▲アナリストにあなたの会社の評価を聞いてみるのも手です。以外と、あなたの会社の「強み」や「弱点」をズバリ指摘することがあります。これを真摯に受け止め真剣に検討するのもいいでしょう。▲・・・・これが、今まで中期計画に携わってきた私の見方である。

 

まだ、まだ、中期計画について語りたいことが沢山ある。▲特に「中期計画とKPI (Key Performance Indicater) の関係」がある。▲これは、今、出版の準備をしている「経理の知られざる戦い」の中で述べたい。

 

発表した中期計画に効果が表れないとお悩みの方、是非、ご連絡下さい。お手伝いさせて頂きます。