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出向には甘い話がつきもの・・・それだけ落差も大きくなる。

12-05より続く

 ここは神奈川県のある工業団地、近くには大手企業の工場が立ち並ぶ立派な工業団地である。私は、ここで1週間、滞在し「経理の概要」を見させていただくことになった。▲その後は勤務地を愛知県に移して、実務がスタートすることになる。

  ここでは、わずか1週間の勤務であったが、戦慄の衝撃を受けることになった。▲経理は総勢11人であった。私は、ここは「主計」だけで、「経営企画」「資金」「税務」「監査」は別の場所にいる・・・と当たり前のごとく思った。▲いつまでたっても、別部隊の紹介がない。こちらから聞いてみた。な、なんとこれで全員だという。前の会社の1/10の要員だった。▲『こ、これで、何ができるんだろうか』・・・と急に不安になった。▲その不安は、徐々に的中していった。

 

 たった一週間の貴重な時間であったにもかかわらず、伝票を眺めるだけの時間が流れていった。▲一向に会社全体の説明がない。経理責任者(次長)を新しく迎えるのだから、「会社の概況」とか、「中期計画」「経理の目標管理」など一連の経営概況について説明がなされるのが普通であろう。・・・それがないのである。▲経営トップへの挨拶もない。それどころか・・・『税務を見る人がいないので見て欲しい』そう言われて、この会社に来たのだが、着いたその日に『連結担当者が急遽退社することになったので、そちらも見て欲しい』・・・急転直下の申し出であった。▲こうして、私は着任初日に管理職としての仕事ではなく、2人分の実務作業を申し渡されたのである。

 

 戦慄の衝撃はまだまだ続く。

 

『経営計画は一体どこで作っているだろうか。』・・・聞いてみた。▲『営業利益段階までを原価企画部が管轄し、経理部は資金に関係する「営業外収支」部分のみ。』・・・とのこと。

『じゃあ~会社全体の損益管理はどこでやっているのか。』・・・続けて聞いた。▲なんと、営業部隊が主力でやっているとのこと。▲営業は主力取引先から業績の開示を求められるため、止むを得なかったのだろう。幸いなことに、この営業責任者の方は素晴らしい能力を持っておられ、経営管理の職務を完遂されていたので、会社全体では、なんの問題もなかったが・・・経理への期待はほとんど感じられなかった。

 

では、経理は何をコントロールしていたのか・・・と言うことになる。これも聞いてみた。『毎日、伝票を見ているが、これだけで何がわかるんですか。』・・・と。▲担当者曰く『本社及び全工場の伝票はここに集まってくる。これを我々が見ているから大丈夫だ!。』▲伝票だけでは何も分からないはずであり、まったく理解に悩む答えであった。▲あとで分かったことであるが、当時は財政緊縮令が引かれており「ムダの排除」が大合唱されていた時期であった。だから、贅沢な支出がないかを見ていれば足りたのである。▲本来支出は「計画達成のために、使うべきものは使い、絞めるべきものは絞める」と言ったメリハリのある司令塔でなければならないのに。▲完全に経理部の仕事は後ろ向きのものになっていた。

 

以上のように、私の思いとは完全に食い違っていた。▲経営支援と言うニーズは全くなく、とにかく、経理としての最低限の業務を回すための一作業者としての依頼であった▲出向元の説明とは全く違っていた。

 では、「なぜ、このような後ろ向きな出向の話を引き受けたのか ?」・・・それについては、次回に廻したい。・・・・つづく。

 

最後に、現在の経理部の名誉のために言及する。この話は15年も前のことであり、今の経理部は会社の中枢機関として、りっぱに成長されていることを申し上げたい。