今、書いている本の「前書き」の後半部分です。
~~前日投稿の続き~~~
このような間違いは、経理だけではありません。
経営者トップの方にも、同じようなことが言えるのです。
それは、四半期決算が導入されせいか、目先の「利益」ばかりを気にする経営者がいます。それも、最終利益ではなく、自分の責任にかかる「営業利益」だけを気にするといったことをよく見受けます。これでは、経営者の資質としては不充分だと言わざるをえません。
今の会計が「事業のゴーイングコンサーン」を前提としていることをご存知ですか。
これは、利益が出ているかと言うことだけではなくて、「将来に亘って持続可能な成長が見込める状態になっているか?」を問うものなのです。
私は、経営は「バランス」だと思っています。
バランス経営こそが、この持続成長を可能にさせてくれるものだと思っています。
バランスが崩れると、経営が成り立たなくなる危険があるのです。それも、一気にやってきます。
今の会計は、とても複雑になっております。
20000年から始まった会計ビックバンにより、財務諸表は、見る側にも大きな変化をもたらしました。
その最も大きなものは、「実現主義」から「将来予測を踏まえた現状認識」への変化であります。そして、この予測はうまく廻っていることを前提にしたものです。
ですから、その前提が変われば、会計処理も大きく変わります。
このため、思いもよらないところで「そんなことが起こるはずがない!」と云った事態が起こりうることがあります。それも突然にです。
事業がうまく廻っている時は、成果が大きく出て、下降始めると一気に大きな損失が発生するといった、まさにジェットコースター的な会計基準となっております。▲ですから、「利益」だけを見ていたのでは、経営が成り立たなくなる恐れがあるのです。▲将来を含めて、全てがバランスよく回っていて、初めて安定した持続可能な成長が見込めるものになるのです。▲しかもそれは、崩れかかってから分かるのでは遅すぎます。▲予見する力がなくてはなりません。
でもこんなことを社長に言っても、
専門的なことで、理解は難しいでしょう。
だから「まぁ~、頼むわ!」と言うことになるでしょう。
それはそれで仕方ないことだと思います。
だけど、社長さんは、利益だけでなく、財務状況にも注意を払わなければならないと思ってください。そして、幾つかのバランスを取るための方法(本文の中で説明をします)を身につけてください。
後は経理に任せてください。
経理はここで大きな存在感が出るのです。
まさに、社長さんと肩を並べるCFOの存在です。
それでは、どうしたら、経理は、本来の機能が果たせるようになるのでしょうか。
それは、経理マンとしての「見る眼」、「感じる心」、「思考力」を身につけることです。
経理には、他部門では持ち得ないたくさんの経営情報が集まるってくるようになっています。戦い方を知っていれば、人を動かし、部門を動かし、しいては会社を動かすことのできる経理になれるはずです。そうすれば、経営のバランスが、おのずと見えてくるようになり、「問題の指摘」や「課題解決の提案」もできるはずです。
ただ、残念なことに、この「経理の戦い方」は、一朝一夕には身につきません。
会計学ばかりを勉強していても身に付きません。
本で学ぶこともできないものです。
実践で学び成長していくしか手がないのです。
幸い、私は、この経理部門の建て直しを実践してきました。
それは実に壮絶な戦いの連続で、常に崖淵ばかりを走り続けてきた危険きわまりのない戦いでしたが、この貴重な体験こそ、経理部門を強くしようとお考えの方々に、かけがえのない手引きとして参考にしていただけるものになると思っております。
実践でしか身に付かないことを、実際の体験談をお伝えすることで、一日でも早い、強い経理部門の復活にお手伝いができればと願ってこの本を書きました。
景気回復がなかなか見込めない難しい環境の中で、経理が経営戦略の中枢となり、かぎりある経営資源をフルに活用していくことで、たゆみない成長ある企業を築いていく。
この本が、その一助になれば本当に嬉しく思います。