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B/Sにも顔がある。あるなら綺麗な方が良い。それを見分けられない様では財務改革はできない。

第三章 財務改革の始まりに際して  ~これは、財務改革のために戦い続けた「経理の知られざる戦い」の記録である~

~~~~前日からの続き~~~

(回転を早めるということは・・・)

私は、B/S(貸借対照表)を見ると、一目で綺麗なB/Sと、そうでないB/Sとを見分けることができる。そうなんです、人の顔を見るのと同じように整った綺麗な顔なのか、そうでないかを見分けることができるのです。

そこで、部下たちにも、当然、このことを要求する。「もっとB/Sを綺麗にして欲しい」と言うのですが、どうも、伝わっていなかったように思う。

そこで、いつも、同じ顔ばかり見ているから、その違いが分からなくなっているのだと思ったんです。それで、連結決算業務の一つのプロセスである各子会社から送られてくるFS(Financial Statement)のチェックをさせて、綺麗なB/Sの見分け方を擬似体験させようとしたのですね。でも、結局は効果が出なかったですね。それは、見分け方の基本を知らなかったからだと思います。

そこで、綺麗なB/Sの見方をちょっとだけ紹介します。詳しくは、改革の事例の中で詳しく説明をしますが、ここでは、さわりだけを紹介します。

 

例えば、日本のB/Sを見ると、左側の資産の部には、一番上に「現金」が書かれており、続いて「銀行預金」、「受取手形売掛金」、「商品・製品」と並んでいる(国によっては全く逆の場合もある)のです。これは「流動性配列」といって、現金に近い順に上から下に並べられているのです。ですから、下の科目から早く上の科目に移すことが回転を早めることになるのです。そんな視点で見ていると、どこで回転が滞っているかが見えてくるはずです。「総資産」が大きいほど良い会社だと思わないで下さい。良い会社とはスリムな会社を言うのです。良い会社とは総資産利益率が高い会社をいうのです。だから総資産は多いのではなく、スリムが良いのです。「少ない元出で大きな利益を生む」これが良い会社なのです。

 

もう、ちょっと、個別の科目で言うと、こんな感じになるのです。

例えば、「建設仮勘定」が多いのはだめです。この科目は設備が建設途上にあって、まだ、生産に寄与していない設備を言うのですから、こんな、ところで、ゆっくりしておられては困るのです。もっと、早く生産設備として稼動すべきです。同じことは「原材料」や「仕掛品」にも言えることです。調達した材料は早く製品にすることです。

 また、「繰延税金資産」が多いのも考えものです。なぜ、こんなにも沢山の前払税金を払っているのかと疑ってみることです。将来、税制が変われば、この評価額もかわってくるのです。思わぬダメージをこうむることだってあるのです。もっと、本当の意味での節税を考えなければなりません。

えっ、長期貸付金があるのですか。銀行でもないのに、資本系列のない会社に、資金を融通しなければならないことがあるのですか。そんな経営難に陥っている取引先があるなんて・・・・。

売掛金」や「在庫」が多いのもだめです。

売掛金」は得意先に与えたユーザンス期間を越えるような残高があったら、それは回収が滞っている取引先があるという事です。

「在庫」は、受注生産の場合で、せいぜい2~3日分くらいの量でなければなりません。この量を超えているということは、取引先からの要求リードタイム内で生産ができていない場合や、不良在庫が含まれている可能性があるということです。

このように、事業サイクルが順調に回っていないばかりか、不良債権や不良在庫は、この価値増殖循環の外に流れ失っていることは最悪のケースです。

ですから、この科目を見るときは、最小残高になっているかの目線で見なければなりません。こんなところに大事な資金を寝かして置いてはだめなのです。

 

よく、「当座比率」は高いほど経営安定度が高いなどといわれることがありますが、当座資産を沢山持つと考えないで下さい。当座資産も当座負債も極限まで減らすことが良い会社なのです。「そんなに資金的余裕があるのなら、もっと借入金を返せ !」って言う目線ですね。

 

・・・・と、言った具合に、出るわ、出るわ、いろんな角度からの見方が出てくるのです。このことを一瞬にして判断することが、B/Sを見分ける力なのです。これができるようになれば財務改革のヒントは限りなく出てくるものです。

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