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意外と分かっていない「壁に張られたスローガン」

第四章  付加価値と財務改革との関連 ー付加価値を高めることが、財務改革の基本ーこれは、財務改革のために戦い続けた「経理の知られざる戦い」の記録である~

●2001年3月期末現在・借入金304億円(総資産に占める割合41.5%)、自己資本比率25.9%・・・財務改革の進捗状況が読者の方々に把握しもらえるように、時々このように表示をしていきますので、比較しながら理解を深めて下さい。

 さて、本題に戻りますが、私は着任してから、ずっと気になっていたことがあった。▲それは、会社がどの方向に向かって行こうとしているのかが見えなかったのである。▲壁に貼ってあるスローガンは「一歩一歩着実に!」である。 ▲皆はどこに向かって、一歩一歩着実に進もうとしているのだろうか。少なくても、私の近辺にいる人達からその答えは聞こえてはこなかった。

 そんな疑問を持っていたある日。「部長会」なる集いがあり、私も管理職の一人としてお呼びがかかった。▲私は、まだ殆どの人の顔も名前も知らなかったので、参加することに余り気乗りはしなかったが、これも努めと思い、重い腰を上げて参加することにした。▲出席してみて初めて分かったが、このような会は、社員会、係長会、課長会と、各階層別に開催されていた。▲形は、従業員自らが企画、運営する会とされていたが、明らかに会社側の意思の入った会合であった。会社トップの方々もゲストとして参加しているし、最初は会員相互の研鑽の場としてまじめにスタートをきった。▲一段落すると、会場を移し、食事をメインとする親睦会へと変化をしていった。もう、ここまで、来ると、硬い雰囲気はない。かなり、ゆるい雰囲気で、日頃の苦労を慰問する形にかわっていた。

 

 そんな、ゆるい雰囲気の中で、私は、ある行動に出た。▲酒を飲めない私が、ビールをもって、会長、社長が陣取るテーブルに、すすすっと、近寄っていったのだ。▲明らかに、他のテーブルと違って、ここは人が余り寄ってこない。▲そこに、なにも共通点を持ち得ない私が無防備にも近づいていったのである。

 社長から声を掛けてくれた。『どうかね。もう慣れたかね!』これは想定内の会話である。▲これしか共通点がないのですから、こうくると、初めから想定していた。▲『はい。いろいろ驚かされることも沢山ありますが、前の会社も同じ輸送機器事業ですから、何とかこなせております。ですがぁ・・・・』こう、含みのある話し方をすれば、必ず聞いてくるはずである。▲これも計算しての話しかけである。▲『そう、どうだね。君の目から見たうちの会社は?』▲ほら、やっぱりきたぞ。ここだ、ここだ、ここであの予てから疑問に思っていたことを聞こう。▲このゆるい雰囲気の中での会話だから失礼にはならないだろう。そう思ってきり出した。▲『皆さんの真剣さも、堅実さも、よ~く、分かるのですが、どこに向かおうとしているのかが見えないのです。無駄を徹底して省くのもいいのですが・・・、私には戦略が見えないのです。』

  経営者に向かって、戦略性が見えないなど、とてつもない辛辣な質問をしたのである。どんな返事が返ってくるか。ほんの2~3秒間の間合いであったが、すごく期待して答えを持った。▲『そう、今はこれでいいんだよ!。今はね!』期待は完全に裏切られた。こんな短い回答が帰ってきた。それ以上、話は、なにも進まなかった。

  

ならば、その答えは自分が探してやろうじゃないか。・・・そう思った。

 

~~~次に続く~~~