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運転資金の回転パターンを知らないようでは、貴方は財務のプロではない。

第五章  資金の回転と財務改革との関係これは、財務改革のために戦い続けた「経理の知られざる戦い」の記録である~

 ●2002年3月期末現在・借入金273億円(総資産に占める割合37.7%)、自己資本比率27.4%・・・借入金残高は前年より31億円も減少した。これから一気に削減させていくのが私の役目である。

 

(運転資金のバランスパターンを知る)

まずは、全体に向けての仕掛けが功を奏して、会社全体の方向性を示してもらえたので、今度は、我々が、自ら動く番である。

 私は、まず、「運転資金の回転期間」について調査を進めることにした。▲「大きな設備投資もしていないのに、通常の事業運営だけで、なぜだか、資金がいつも不足する」ようでは話にならないからだ。これは、財務改革の基本中の基本のものである。

 私は、早速、B/S(貸借対照表)、P/L(損益計算書)から、回収と支払いのそれぞれの回転期間を算出した。それは、こんな具合にである。

 

回収サイト=(売掛金受取手形+在庫)÷売上高

支払サイト=(買掛金+支払手形+未払給与)÷売上原価

 

そうです。この式を見ればお分かりだと思いますが、▲「材料を買ってから、得意先に販売し、その代金を回収するまでに必要な期間」と、「材料を仕入れてから支払月までの期間」を見るのです。▲両者の数値(回転期間)が近似値であれば「バランス型(収支の均衡が取れている)」であり、回収サイトの方が支払サイトよりも短い場合は、「回収先行型」を表し、その逆であれば「回収後追い型」と言うことになる。

 ▲一番望ましいのは「バランス型」である。この形であれば、運転資金で困ることはめったに起こらない。「回収先行型」は売上が増加傾向にある時は、運転資金に余裕が生まれる。逆に、売上減少局面に入ると、一気に資金不足になることがある。「回収後追い型」はこの逆である。

▲まあ、財務部門を携わる人間としては「バランス型」を最も好む。企業というものは売上げが順調に伸びる時期もあれば、低迷する時期もある。まさに、山あり、谷ありの繰り返しである。そのことを考えれば、この「バランス型」が最も安定していて好ましい形である。僕ら財務の人間も、忙しい思いをしなくて済むので、このパターンを好む。

 ▲で、調査結果は、私たちの会社が「回収先行型」であることが判明した。▲考えてみれば当然である。▲販売先は国内有数の大手カーメーカーである。相手先の管理はしっかりしているし、資金的にも余裕がある相手先ばかりである。回収に何の問題もなかった。

▲一方、支払も「下請法の支払遅延防止法」に基づいた支払いをしていたので、いたって常識的な支払いをしていた。こちらも、問題はなかった。

 ▲このように、当社の運転資金パターンは、もっとも安定していると言われている「バランス型」ではなく、「回収先行型」であった。しかし、我社は、ここ数年売上拡大を続けていたので、資金不足が発生しないパターンであることはありがたいことである。このまま「回収先行型」のメリットを享受することとし、是正をしないことにした。▲勿論、売上減少時のことを考えて、必要な資金を手元に置くことは忘れなかった。

▲このように、運転資金の改革は、まず、自分の会社のパターンを把握することであるる。そして、そのパターンに合わせた管理をしていく。このことが、絶対必要であることを忘れてはいけない。