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辛かったはずである。悲しかったはずである。・・・僕には、それが分かった。

僕は、今日(9/1)、秋野不矩美術館で開催されている茂木しのぶ油彩画展「旅と春野の思い出・・・」に行ってきた。▲これは、知人の吉田克秀さんのFBで紹介された「この個展の裏話」が気になって仕方がなかったので、自分の目と肌で確認しようとしたのである。▲その気になって仕方なかった一節とは・・・作品の一つ一つを作者が熱心に説明をして下さった時、老人と孫らしき画の前に来た時「これ私の亭主なの、65歳の時に80まで放浪の旅に出ますと書き残し、姿をくらましたまま帰ってこないのよ。今年の1月に80になったのに、この人ったら」・・・の部分である。▲辛かったはずである。寂しかったはずである。きっと絵にも出ているはずである。▲吉田さんは、「そんなことは微塵にも思わせない」と、言っていたが、僕はその気持ちが絵に出ていて欲しいと思った。だって、その方が人間らしいと思えたからである。・・・少なくても、そうであって欲しいと、願いながら見に行ったのである。

 展示室に入ると、おばあちゃんが笑顔で迎えてくれた。なるほど・・・この笑顔からは寂しさなんてものは、全く感じさせなかった。▲このおばあちゃんの近くに住んでおられる僕の知人である吉田さんや、原山さんとの関係を話させて頂き、僕の自己紹介をさせて頂いた。▲おばあちゃんは、すぐに近親感を抱いてくれて、身の上話をし始めた。▲聞けば、山口から、農業移民でブラジルに渡り、壮絶な苦労をされたようである。▲そ~か~、この苦労が、この人を強くさせたんだぁ~・・・と思った。これなら大丈夫だと思い、ご主人と分かれたことも聞いてみた。▲思い出はいっぱいあるようで、一つ一つ説明してくれた。▲展示されていた50点ほどの作品は、全て、こ主人と一緒に行って描いたものとのことである。でも、その説明には寂しさは何もなかった。描くことの楽しさをいっぱい伝えてくれた。

 一通りのお話を終え、僕は、一人で作品を、おばあちゃんの生い立ちを頭に浮かべながら、じっくり、時間をかけて、もう一度、見つめ直した。写真はそのうちの中の3点である。・・・・僕には見えた。おばあちゃんの本当の気持ちが・・・ある意味、ほっとした。僕の思いを裏切らなかったのである。

 帰りがけに、僕は、労うつもりで訪ねた。「この絵を全て手放したいと言いますが・・・寂しくないですか?」▲「描き始めたころ、100作品描こうと思いましたが、もう70を超えました。このままだと、100が、もうじき来てしまう、だから、一度、全てを処分し、一からやり直ししたいのです。そして、これからも描き続けたいのです」▲僕は、心の中で「がんばって ! 」と言って、その場を後にした。

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