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無借金経営への道のり。(その1)

目次

はじめに・・・・・・・・・・・・4/16投稿

10.借りた金を返す。・・・・・・・4/10投稿

11.財務部長が下した苦肉の策・・・4/15投稿

12.運転資金は、こう見る・・・・・・4/15投稿

 

 はじめに

この物語は、ある会社が無借金経営を実現するにあたって、臨み続けた実話をベースにして、それを今風にアレンジしてノンセクションとして書いたものである。
登場する人物や、掲げた数字は全て架空のものである。
 私は、若手財務マンが学校で学んできた知識だけでは、実際の場面で動けないことを沢山見てきた。それは、実務は知識だけでなく、実際の場面での経験や実態を感じ取る能力がないと動けないことだと思っている。 まさに、これは、自ら動いて体験することしか得られないことであり。この一歩踏み出すための情報を提供したいと常づね思っていた。この投稿が、その一助になってくれれば大変うれしい。

 さて、話を戻して、本投稿に入る前の状況について若干ふれることにする。
これは、前投稿「これぞ財務部門のキャシュフロー計画」からの続きである。

事業再編にかかる巨額投資を、財務部長は、自己資金と外部からの借入金で賄ったわけだったが、あれだけの大きな融資をまとめた手腕は見事であった。
ただ、一時的にしろ、借入金を導入したことで、過ってのような健全な財務状況は少し後戻りしてしまった。
それを取り返すために、新たな挑戦が、また、始まったのである。
この新たな挑戦とは、「いったいどんな動きをするべきなのか?」
これが、今回の投稿の趣旨である。

 

 

10.借りた金を返す。

前章で説明したように、事業再編にかかる初期投資資金は、自己資金100億円と銀行からの借入金50億円及び増資で、なんとか対応することが出来たと思いますが、今度は、借りた金をどう返すかを考えてみたいと思います。
その額は150億円(設備50億円+海外生産拠点の土地・建屋の一部100億円)と仮定して話を続けます。


財務部長は、もう1年近くも、銀行と話を続けていた。
いままで良好の関係を築いてきた甲斐があり、各銀行も前向きに対応してくれた。
が、やっぱり150億円ともなると、あれやこれやの資料も作らなければならないし、説明も多くなる。そんな状態が1年も続いていたのだ。
身心ともに疲れ切っていた。
やっとの思いで、話をまとめることができたが、休むことはできなかった。
「借りた150億円を5年で返さなければならない」からだ。
これは、銀行から出された条件ではなかった。
これくらいのスピード感を持って、返済をしなければ会社のためにならないと、財務部長自らの想いで、銀行に提示した約束ごとであった。
しかし、その約束を果たすことは、そう簡単ではない。
そう、思うと休んでなんておられなかった。

銀行に提出した資料を前に、当時のことを思い浮かべていた。
「最近こそEBTD/Aは1ケタ止まりであるが、以前は2ケタが続いていたんだから・・・、あの当時に戻れば、5年で150億円の金はぜったい創り出せるはずだ!」(その1-4.「過去分析でキャシュフローのクセを掴む」を参照)

 

「それに、新しいビジネスも加わるのだから、この位のことができなくてどうするんだ~」・・・と、強気に主張したことを思い出していた。

 

財務部長は、早速、数年前の財務体質作りに動き出していた。

 

 

11.財務部長が下した苦肉の策

財務部長は、財務改善の基本は、「利益UP」と「価値増殖循環のスピード」にあることを知っていた。
本来ならば、その両方を同時並行で進めていくべきであるが、
財務部長は「価値増殖循環」の実態調査を部下に指示を出した。
指示を受けた部下たちは「なんで・・・、また、俺たちだけが」と思った。
これは、大量の仕事の移管を受けて現場は大混乱の中にあったので、これ以上の混乱を避けるために、あえて、現場を巻き込むことを避けた指示であった。
財務部長とは、こんな配慮もできなければならない。
とにかく、全体を動かして、初めて成し得ることなので、会社の隅々まで、知っていなければならない。

 

 

 

 

12.運転資金は、こう見る。

財務部長は、財務諸表から運転資金の概要を掴むことを始めた。
数年の財務諸表を並べ、その変化を確認していた。
「うーん、運転資金はほぼバランスがとれているし、問題ないようだな!」
普通はこれでおしまい。次に行こうっとなる。
ところが、財務部長はそうでなかった。
「収支バランスは取れているが、もっと流動資産を圧縮できないものか?」
「財務改善とは資産をトコトン圧縮させて、スリムにすることだよな!」
と、ブツブツ言いながら、資料から目を離さなかった。

 

しばらくして、財務部長はあることに気が付いた。
それは、連結の売上債権は2.0ケ月に対して、親会社は2.5ケ月もあることに「何だこれは!」と思った。
それとは逆に、棚卸資産が連結では0.5ケ月も多くなることであった。親会社は「徹底した在庫削減を展開し0.3ケ月の量で廻しているのに・・・ははぁん~、海外子会社はまだまだ知恵の出し方がたらんな!」と思った。

早速、部下に指示を飛ばした。
「財務は、机にしがみついていたんでは、いい仕事ができんぞー」
「現場にいって見てきなさい」
いつもにまして声高らかに激を飛ばした。