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無借金経営の道のり(その2)

目次

13.親子間取引にもビジネスライク感覚を持つ・・・4/17投稿

14.財務改善は全社で取り組む仕掛けつくりが必要・・・4/17投稿

15.人を動かすKPI指標・・・・・・・・4/19投稿

 

 

13.親子間取引にもビジネスライク感覚を持つ

調査に行っていた部下が戻ってきた。
さっそく財務部長に近づいてきて、息を弾ませながら喋り始めた。
「部長!、仰る通りでした。 前々から、なんだかおかしいと思っていたのですが、やっぱりそうでした。」・・・話の内容は、全くわからなかったが、息もせず立て続けに喋る姿から、「これは、何か掴んできたな」・・・と、思った。

しばらくしてから、今度は、ゆっくりした口調で喋り始めた。
「やっぱり、親会社の売掛金が膨らんでいました。」
「国内取引先は大手企業ですから、約束通り支払いをしてくれていました。」
「問題は海外子会社からの回収です。」
「あれだけ約束していたのに、営業はまったくだらしがない。・・・それに僕らも、それをなにも指摘していなかった。」
そのごも、反省と後悔の念がとうとうと続いた。

話を整理するとこんな具合だった。
親子間の決済とは、とかくルーズになりがちである。
それを正そうと、「インボイス・ネゴ」という仕組みを導入した。
これは、輸出手形ではなく、インボイスの状態で、金融機関に割引に出す仕組みのことである。 こうすることで、外部の金融機関を介在させ、親子間の甘えを払拭させようとした先輩財務部長の残した素晴らしい企てであった。

ところが、この仕組みがまわっていないと言うのだ。
昨今の、円・ドル為替の乱高下と、円とドル金利の差も手伝って、財務担当者の頭を悩ませていた。 その結果、インボイス・ネゴをしていなかったと言う訳だ。
「親子の甘え」はあっという間に、悪しき時代に戻ってしまった。

もう一つの問題は、コンテナの空きスペースを無くすために、なんと、オーダー以上の出荷をして、それを請求していたのである。 担当者は輸送コストを引き下げるために良きこととして、実施をつづけていたのである。 これも、根は同じで「親子間の甘え」が起因していた。

財務部長は、この状況を聴き「親子間の甘えの断絶」と「為替管理方法の仕組みつくり」を指示した。

 

 

14.財務改善は全社で取組む仕掛けつくりが必要

もう、一つの調査隊が戻ってきた。
海外生産拠点の生産管理方法を調査していた部隊である。

「部長!、報告します。」
「これは、なかなか難しい問題です。」
「こちらを立てれば、あちらが立たない。・・・・ちょっと、一筋縄ではいきそうもありません。」

否定的な言葉で始まったことに、財務部長は顔を曇らせた。

報告は続く。
「海外は、国内と違って、納入先が遠くはなれています。 とても、多回納入は難しく、在庫を持って納入調整をしなければならない状況が続いています。」
財務部長がすかさず口をはさむ。
「だけど、海外子会社はCIM1(日本と同じ価格)だよな!。 納入価格が同じで、在庫コストがかかるのでは、どこで、この差をとりもどすんだよ!。 そんなに、早く諦める訳にはいかんぞ!」
ちょっと、険悪ムードが漂った。

「そうは、いっても・・・・・」
部下の報告は、とぎれとぎれになってきた。
「仕掛品の中間在庫は日本に比べてどうなんだ。 リードタイムに問題はないのか?。 完成品の在庫が多いのはまだ分かるが、原材料がこんなに多いのはおかしいんじゃないのか? 鉄は日本から持っていくのか?。 現地調達はできないのか?。 高炉メーカーも海外に進出しているのに、なぜ、日本と同じことができないんだ。」


財務部長は、目の付け所を、一気に喋り始めた。

部下は、もう、一言も言えなくっていた。

同時に「財務の仕事の範囲が、このように広いものか」と、自分の狭さを改めて嚙みしめていた。

さすが財務部長である。
それから1週間たった時だった。
「SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)」チームを立ち上げた。
その、責任者には、もっとも鋼材知識に詳しい商社である子会社の社長がついた。
合わせて、日本本社には「売上債権の短縮」を、海外子会社には「在庫圧縮」の目標を事業計画の中に入れさせた。

 こうして、

運転資金の徹底した圧縮は、

ゆっくりではあるが、確実な一歩を踏み出していった。

 

 

19.人を動かすKPI指標

人は簡単には動かない。

「がんばれ!」って言ったって、 「何をどう頑張ればいいのさ!」といった具合だ。

SCM(サプライ チェーン マネジメント)チームを立ち上げたとか、 事業計画に織り込んだと言ったところで、人はそう簡単には動いてくれない。

そんな悩みを解決してくれるのがKPI(キーパ フォ―マンス インディケーター)だ!。

 

財務部長は、この運転資金の圧縮を次のように各部に説明した。

「我社は事業再編投資のために銀行から150億円の借入をした。 この借入を5年で返却をしたい。 それが出来ないようでは、次の拡大投資ができなくなる。 なんとしても5年でかえしたい。」

厳しい顔つきで、瞬きもしないで、前を向いた姿勢から、その真剣さが伝わってきた。

 

財務部長は説明を進めた。 「まずは、運転資金の徹底した圧縮を図りたい。 これを実現させるために、役員会で、C/Fグローバルスタンダードを決定した。 各社、各部とも、この指標の実現に全力を尽くしてほしい。