ありきたりのこと喋っていてはプロじゃあ―ない! (4)

ベトナム政府・外部団体に「IoTを活用した日本式カイゼンノウハウを伝える」と題してプレゼンをした。

■話の流れを引き込む

そうそう・・・、聴衆者はだんだん私達に興味を持ち始めた。 「よーし、一気にこちら側に引き込むぞー」と力が入ってきた。 これにはコツがある。みんなと違うことを言うのが一番である。 聴衆者と違うことを言ってみて「そりゃあ、ないだろー」と思わせると、次の言葉に興味を持つことになる。 この手法を使うのである。

 

「日本式カイゼンは大変難しい専門知識が必要なんです」えらそーにと思う。 「実はそうでもないんです」本当は難しいと思っているので心の中では、エーホントゥと更に興味が高まる。 「難しいと思うから踏み出せないのです」今度は、うんうんとうなずく。 「実は、簡単なことと、難しいことが混在しているから、すべてが難しいと考えちゃうのですね。これを分けて考えればいいのです。 簡単(定型)なことはIotで、難しい所は外部知識を使えばいいのですね」 ここまで種明かしすると、皆さんの目と耳が近着いてきたことが分かった。早く~つぎ喋べろよ!・・・と言っている感じ。

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■喋る領域を絞る。

カイゼン」の最終目的は原価低減にある。 ところが、原価低減を実現させるやり方はいろいろある。 例えば①設計の段階で「余分な材料」や「余分な工程」を省くことを徹底的に考える「開発技術による原価低減」がある。 ②次には、同じ物を作るにも作り方は幾通りもある。ロボットで作る。人で作る。流れ作業で作る。一人で完成させる。・・・など、どの方法(生産技術)を取るかで原価が変わる。 ③最後は、決められた物を決められたやり方で作るにしても「人の動作の速さ」「機械の稼働率」で原価が変わる。 ④まだある、調達コストである。どこから買うか、まとめて買うか、交渉力の強弱で原価が変わる。 と言った具合だ。

 ここで、今から喋る「カイゼン」は③の領域を対象にしていることを伝える。 カイゼンが万能でないことを伝えたのである。 「な~んだ!」と思うかも知れないが、こうして早めに絞ったことを伝えた方が、邪念を押さえることになり、スッキリ聞けるものである。 入口は大きく、次第に絞っていき、焦点を合わせる・・・これが、セミナーのコツである。

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