他のコンサルタントは「そんなことやってもムダ」と言う。 我々は「素晴らしい方法」と勧める。 そこが我々の違うところ(6)

ベトナム政府・外部団体に「IoTを活用した日本式カイゼンノウハウを伝える」と題してプレゼンをした。

 

■人の動作を考える。

同じ設備を使って、同じ方法(人の動作)で作っても、同じようにできない。

 自動車業界では、海外で生産する場合「日本の原価」が基準になる。つまり、どこの国で作っても同じ原価で作れ! と言うことになる。 だから、日本で設備をつくり、日本式製造ラインを引き、実際に作ってみる。 そして、決められた品質、コストをクリアできることを確認をしてから、そっくり、そのまま海外に持っていき生産を開始する。 なのに、不思議と海外では同じものができない。

 なぜだ!。と聞くと、同じ金型、プレス機を使っても素材が違う。 日本の鋼材は素晴らしい。でもここの鋼材はそこまでいっていない。「日本のものづくりは鉄づくりと共に成長してきた」と言う。 ならばと、日系高炉メーカーから高い鋼材を引っ張ってくる。   でもできない。 なぜだ!。と、また聞く。 「日本人と同じように匠の技術で研磨することはできない。同じようにやると我々は、すぐに腱鞘炎になってしまう」

 こんなやり取りを海外工場とよくやったものである。 当たり前のことだが、設備だけではなく人の動作についても研究をしなくてはならないことを痛感した。

 

■動作解析方法

以前は、ストッポッチを持って現場作業を計測しまくった。そのうち右手だけでなく、左手も、足も使うようになる。そうなるとストッポッチがいくらあっても足らなくなる。 同時に作業者の動作を頭の中に焼き込んでいかなければならない。・・・動作解析はドンドン複雑になってきた。こうなると、これができる専門家は限られてくる。

 そうなると、専門家がいない海外工場での動作がまずいからと言って、現場が見えない日本の専門家が指示を出すことなどできなくなる。それを無理して、言葉でやり取りするから何時間経っても答えが出せない。

 そんな状況が IoT の発達で少し変わってきた。 人の動作を動画に撮ってクラウドに送りITを使って解析をさせる。すると「カイゼン4種の神器」がoutputされてくる。 いよいよ遠隔操作が始まる時代となった。

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カイゼン4種の神器

大手企業では現場改善を行う場合、なくてはならない分析手法が4つある。それが簡単にできるようになってきたことを説明した。 かくして「カイゼン4種の神器」は「カイゼン4つの救世主」となった。

 

①動作解析表・・・人の動作の中から「付加価値を生まない動作」や「要時間短縮動作」を「トヨタ生産方式7つのムダ」や「ハンドタイム短縮11の視点」を使ってPickupしていく作業。これを通して正常なタクトタイム(各人の作業スピード)を割り出す。

②山崩し表・・・1つのラインには何人にも人がつく。1人だけが頑張っても、遅い人がいると、その人に足を引っ張られ、結局ラインの出来高は一番遅い人の時間になってしまう。これを無くすために全員の負荷を平準化させラインスピードを最高にさせる必要がある。これを検討するための表である。これを通してサイクルタイム(ライン全体のスピード)の短縮を図る。

③組合せ表・・・いくら早いマシンを導入しても、人の動作が遅いと、マシンは人の動作が終わるまで待つ(手待ち時間)ことになる。 このため、人とマシンの最的な組み合わせを創り出す必要がある。この検討に使うのがこの表である。

④作業標準書・・・上記の分析で得られた「ベスト動作(手順)」を一時的なもので終わらせないで継続させなければならない。これを実現させるのがこの表である。最近では外国就労者への作業説明書としても動画を使ったものが重要視されている。