「先住民(蛇・鹿・猪)が主役」か、「僕が主役」なのかを考える。

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ここは春野の山奥。鳥獣被害のオンパレード地帯である。特に冬を真近かに控えた頃や、春先はとても賑やかである。▲庭に植えたものは殆ど食べられてしまうのである。それも、街中から持ってきた植物は特に被害が多い。だから、余計に悔しい。

 

蛇やウサギはまだ序の口、鹿やイノシシ、はたまた 熊まで出る。

僕の山荘の玄関近くにはマムシ君が住み着いているようである。よく出くわすことがある。気弱な僕はそのたびに「で、でたぁぁ~ ! 」と悲鳴を上げる。運が良ければ近隣の人が駆けつけてくれるが、そんなことはめったにない。▲悲鳴だけが山々にこだまし、そして、むなしく消えていく。

僕はカエルと同じで、蛇に出会うと金縛りにあったように体が動かなくなる。ただ、じっと我慢して待つことしかできない。▲先輩の山人たちは口を揃えて言う。『人に被害を与えるマムシだけは退治しないといけない。しっかりしろ ! 』・・・・と。▲今では、熊手を片手に持ち、闘う準備だけはしている。・・・が、やっぱり僕には荷が重い。『どうか、今日も出くわさないように ! 』・・・と、玄関を遠回りして入る。▲これが、蛇と、僕の共生の仕方である。

 

もう一つ手間のかかるものに「鹿」対策がある。

 

ここでは「日本鹿」の他に「カモシカ」も出る。▲カモシカは天然記念物に指定されているため、猟ができない。▲そのためか、カモシカ君はとても悠々としている。人がいてもあわてず、庭先の植物をしっかり食べていく。

そんな、悠々しい姿をみて、友は言う「彼らこそ主役であり、我々はお客様に他ならない。そんな我々が、わがままはできない。」と。▲さすが自然を愛するネイチャーリストは違うなあ~と感心させられた。

 

そう言えば、春野の町おこしをしている人達は心豊かで、包容力がある方が多いが、この人たちの中にも、同じことを言っていることを思い出す。『都会から移住してくると、田舎ルールは時として非合理なものを感じることがある。だけど、私たちはここに住まわせてもらっている。・・・それを忘れたことはない。』

この気持ちが、周囲の人達とうまくやっていく秘訣かもしれない。

 

そう、思いながら、『ここだけは、鹿さん食べないで ! 』と、小さな囲いを作っている。(上の写真)▲いつからか、足元には小さな野兎が遊びにやってきている。思わず『今日も、おじゃましているよ ! 』と声をかける。