こんなことしてたら、日本の株式市場は潰れてしまう ! 。全国のCFOよ立ち上がれ。

昨日、NHKの「クローズアップ現代」を見た。▲テーマは「東芝不正会計の衝撃」である。▲第三者委員会や内部関係者の証言を通して「日本を代表するグローバル企業で、なぜ、このようなことが起こるのか」を探る・・・と言った内容のものである。▲解説者に「京都大学大学院・澤邊紀生」を招いての論説であった。

正直言って、論説の内容は、表面的な部分だけであり、深く追求したものではなかったのではないか。▲私は「この程度だから、いつの世になっても、この問題がなくならないのだ」・・・と思ってしまった。▲根はもっと深いのである。▲それに、社内では頑張っているものもいると思う。▲それを全部一つにまとめて、まるで、全員が「ダメ人間」みたいに言われるのも我慢できない。

 

そんな思いで、実務を経験してきた者から、あえて、ものを申すことにした。

 

番組では、この手の問題の歯止めになる機関として、3つの部門を掲げていた。▲それは「経理・財務部門」、「社外監査役」、「外部監査機関」だ。▲私もこの3つの機関から、実態を申し上げる。

①.まず最初に「社外監査役」について申し上げる。▲これは3つの機関の中では一番役に立たない。▲なぜならば、不正な話などは上がってこないのだから、判断しようがないのだ。▲監査役会と言う機関があって、ここに、上がってきた案件を社外監査役は、その是非を議論することになる。▲その監査役会にこの手の問題は上がってこないのだから、どうしようもない。▲細かな監査は、常勤監査役がやり、そこで問題視されるものを監査役会に上程するのであるが、常勤監査役は、言ってみれば社内の人間である。▲そんな立場の人間が、「粉飾の疑義」なんてことは上程するはずがない。▲それでは社外監査役から質問すれば良い・・・なんて、思うかもしれないが、そんなことできこないのである。▲大企業の取引量は莫大なものである。そんな量の中で探せるはずがない。それに、会計は素人と言う人が殆どである。▲だいたい、外部監査人を選ぶのは企業トップである。▲そんな、うるさぃ人に「うちの社外監査役になって欲しい」なんて頼むはずがない。(注、人格的には素晴らしい人が多いと思いますが、みずから進んで社内に入り込み、直接社員に話を聞くなどはしない。時間もなければ、そこまで依頼もそれていないのだから仕方がない)

②.次に「外部監査機関」である。これは期待できる。▲とにかく、監査にかける労力も、知識も半端ではない。▲ほぼ1年を通して毎日10人単位で監査をしている。▲ありと、あらゆるものを調べ上げる。▲おそらく、東芝でも外部監査機関は分かっていたはずである。▲なぜなら、殆どの事業部で反復的に不正が繰り返されていたと言うから、分からないはずがない。▲もし、「分からなかった」なんて言おうものなら、新日本監査法人は潰れるね。そんな情けない監査法人に依頼する会社はないね。それどころか、「貴方の会社の監査法人は新日本ですかぁ~」と、逆に心配になっちやうね。・・・・・▲なのに、なぜ、表面化しなかったと言うと、問題は2つ。それは、「閉鎖的な世界」であることと、「監査機関における個人の責任度合がめちゃめちゃ高い」ことである。▲企業とそこの外部監査機関は、ころころ代わる訳にはいかない関係にある。▲途中で代わることは、何かあった証拠である。▲だから企業側も監査機関側にも、大きな痛手を蒙ることになる。▲代わるに変われない間柄なのだ。▲その中で、うまく、折り合いをつけていかなければならないのである。▲この関係が粉飾を招く原因となる。

外部監査機関は、企業側と相当激しい議論を交わしたであろう。▲監査機関のサイン者は相当悩んだと思う。▲ただ、監査サイン者にかかる責任がムチャクチャ大きいのである。そう、サインをするかどうかは、監査法人ではなく、監査サイン者にかかるのである。▲極端に言えば、この戦いは、大企業 対 一個人 と言う図式なのである。▲おのずと、勝者はどちらに傾くかは言わず語らずである。(注、重大な問題は、上級審査部に廻すといった手だてがあり、けして、個人だけで戦っているのではなく、手続き次第では、「大企業 対 大監査法人」の図式に持ち込むことも可能であるが、恐らく上級審査には回されていなかったであろう)

③.最後に「経理・財務」の立場から申し上げる。▲CFOであればこんなバカなことはしない。▲我々はCEOと違って「経営責任」よりも「金融市場からの信頼を得る」ことの方が強く求められるからである。▲金融市場からの信頼を得ることができなければ会社は倒産することになる。▲こんなことは百も承知である。▲自分の立場より、会社の存続を願う。▲あたり前でしょ!。▲私はずっとその気持ちでやって来た。▲それに「キャシュフローは嘘をつかない」そう思っている。▲利益だけ「かさ上げ」しても、キャシュはついてこない。▲それを見抜く力はある。だから、知らないところで、誰かが、粉飾しても分かるのである。▲残念ながら、東芝には、真のCFOはいなかった。▲だからと言ってどこも同じと思ってはいけない。

 

以上のように、この問題をなくそうと思ったら、社長でも、外部監査役でも、外部監査人でもない。▲真(芯)のCFOが活躍できる環境と制度を作ることである。