なんで、お金を借りられないのか・・・と、悩んでいる方にお教えしましょう。

続いて、「資金調達」の話です。
私は、長く、企業の財務に携わってきた。
だから、この仕事の、責任の重さを痛感している。
 「借りたものは返すのがとうぜんだろー」とか、「預けたお金は利子つけるのがとうぜんだろー」と言う、至極当然のことを、企業は必死にやっている。
ちょっと、企業流に言うと、「配当できないなんて役員賞与なし。報酬下げは当たり前」とか、「借入をリ・スケするようでは次の借入れはできない」と言った感じである。
 財務責任者は、「資金の流れがストップすることは、会社が倒産することと同じ」と考える。だから、必死に、考え、動き、いやなことも役員に求める。

 でも、一般社会では、それほど、重く考えないで動くことがある。 それを何とかしようとするのが、私のコンサルとしての立場である。

 皆さんは、お金の話だと聞くと「そりゃぁ~、街の税理士に相談すべきだよ」と、考えると思うが、それほど、ことは簡単ではない。
 

お金を借りるとは、どこから借りるにしても、どんな方法で借りるにしても、基本はみな同じである。

まず、返せるかをしっかり考えないといけない。
そのためには「事業計画(利益計画)」を作らないといけない。
利益なくして、資金はうまれないからである。

ややこしいことに、利益出ても資金が生まれないと言うことが、時として起こる。 その逆もまた起こる。 だから、利益計画とは別に「キャシュフロー計画」を作らないといけない。

更に、借入先に財務的な安心・安全を説明しなければならない。
そのためには、「予想・貸借対照表」を作成しなければならない。
これらの資料は、みな、リンクしている。 バラバラに作ってはいけない。
そこに、プロの知識が必要になる。

ここまでは、街の税理士でも出来るだろう。
問題はここからである。
「経営戦略と戦術」を描かなければならないのである。
これがなければ、先の「事業計画(利益計画)」は、単なる絵に描いた餅で、実現は難しいだろう。

どんなマーケットをターゲットに、どんな戦い方をするのか? 。
中小企業は大手と違って、真っ向勝負しては勝てない。 そこに工夫がいる。
戦略とは、「時流」と「自流」に乗ることが必要である。
そんな思考は、街の税理士ではできない。
「税法にはめっきり強いが、経営はかたっきし弱い」のだ。

そこに、僕の出番がある。

経営を考え、必要な資金を集める。
そんな、貴方の期待に答えます。
問い合わせ先は、経営コンサル「企業参謀」まで。

 

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「えっ、そんなことあるの ! 」と言う税金の話

今日は税金のお話です。
「知っていないと損する」それが税金なのです。
嘘みたいな本当の話を紹介します。

「いゃ~、消費税が上がって、お客さんがバッタリ減っちゃって、お店、大変だよー」・・・これ一般的なお話。 でも、「消費税が上がってよかったよー。お客さんの数は減ったけど、売上は増えた。 ラッキーだね! 」・・・こんな話もあるのです。

それでは、この喜んじゃう話を紹介します。
どんなお店に行っても、私たちは物を買う時、消費税を払いますよね。
「うちは消費税をとりませんよ」なんて聞いたことがない。
国の政策で「消費税転嫁対策特別措置法」なんてものがあって、消費税の転嫁を阻害するものが無いように規定をしている。ので、消費税を払うのは当たり前のことです。
 でも、その貰った消費税を納めるべき業者の中に、「免税業者」がいるのです。 それは、売上高が1000万円以下の業者です。 その方達は、いただいた消費税は自分の懐に入るのです。 そう、国の政策で、売上単価を上げて貰ったと同じことになるのです。 

「そんなの、ずるいー」と思わないでください。 その業者も支払いに係る消費税は支払っているので、全額 「ごっそり懐に入る」わけではありません。 それなりの負担もあるのです。 ここまでが一般通念上の話。 この懐に入る差額 (売上消費税―仕入れ消費税)が業種によって異なるのです。 「原価率がとても低い事業」や、「労務費を中心に回している事業」は効果が出ます。 このチャンスを見逃してはいけません。 この原資を使って攻めにでるべきです。 

また、会社設立時だけに使える消費税軽減のウルトラC「はなれ技」があります。 免税業者→課税業者→免税業者を繰り返す方法です。  売上高が1000万円以下で、事業内容が「インフラビジネス」だったり、「装置産業」の場合は、この技が大きく貢献します。  ただし、この技には使えるタイミングがあります。 この時期を逃してしまうと取り返すことはできません。 まさに「知っていないと損をしてしまう」知識なのです。

 私は、起業相談に受けている中で、このことを知りました。 そのために、いろいろ勉強をしました。 税務署にも足を運びました。 そんな経験知を、貴方に提供したいと思います。 消費税UPをチャンスとしたい方や、起業をお考えの方は、ぜひ、声をかけて下さい。誠心誠意をもって、支援にあたらせて頂きます。

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なんでこんなにも複雑なのか。会社形態ってのは、

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「経理の知られざる戦い」の投稿はちょっと休みます。
その前に、今コンサルしている中からの情報をお伝えします。

僕は、ある団体の起業についてお手伝いをしている。 その過程で分かったことを大まかにお伝えする。 起業しようとしている方の参考になれば嬉しい。

 会社形態の話である。 調べた形態は、「合同会社」「一般社団法人」「公益社団法人」「特例社団法人(NPO)」である。 最近は社会貢献的な活動を、会社を作ってやろうとするケースを多く見かける。 この活動は儲けることよりも社会貢献が目的なので利益は殆どでない。 それに、市民活動だから経営にも慣れていない。 そんな場合は、断然、前記した会社形態が適している。 だけど、どの形態にも一長一短がある。 このことが起業者を悩ませる。

 まず、「公益法人」や「特例社団法人」は、やっても良い事業が決まっている。 公益法人は23事業NPOは17事業と決まっている。 それは儲かる事業ではないのである。 会費や寄付金を集めて、その資金で運営することを前提にしているのである。 それに、設立時に国の認定を受けなければならない。 設立した後も公益的な事業運営がされているかチェックされる。 ・・・「儲かっちゃあいけない」なんて、経済的合理性がない。 それに国からの指導・監督が入る。 あんまりお勧めでない。 税金を払いたくない方や、国・地方公共団体からの補助金を受けたい方にはお勧めの形態である。

 ちょっとでも儲けたいと思う方は、「合同会社」か「一般社団法人」を選択しないといけない。 これは、殆どどんな事業をしても良い(収益事業34種類)。 じゃあ、どこが違うかと言えば、出資を集めやすいかどうかである。 「一般社団法人」は大きな出資を調達することは大変難しい。 なぜなら、一旦出資したものは戻ってこないからである。 具体的に言うと、出資したものに配当や利息は払えない。 それに解散した時でも戻ってこない。 残余財産は国あるいは公益性のある団体に寄贈しなければならないのである。 戻ってくるのは利益剰余金の部分だけ。 もともと出した基本の部分は戻ってこない。 出資にかわる「基金」と言うものがあるがこれも同じである。・・・こんな決め事があったら、だれも、お金を出さないと思う。 慈善家が背景にドカッと座っているような方にしかお勧めできない。

 最後の「合同会社」は、ほぼ株式会社と似ている。 配当もできるし、解散時にはその他の債務を完済した後であれば払戻ができる。 株式会社のように、出資を広く募集することは出来ないが、特定の人には出資が頼みやすい形態である。 それに、株式会社のように、株主総会など重い決済方法はない。 出資した人達で全てを決めることができる。 だから「合同会社」は、ある程度の元手(資金)が必要な事業をしたい方で、フットワーク軽く運営したい方にお勧めの形態である。

ここまで、調べ上げるのに、1ケ月ぐらいかかりました。
最近はネットでなんでも分かるが、いろんな意見があって、あっちいったり、こっちにいったりと、議論はぐるぐる回る。 そんな、余分な時間を貴方には味わってほしくない。 悩んでいる方はご連絡下さい。 相談に乗ります。

いつまでも脛をかじる子供は、早く切ってしまえ。

前項で、下請企業や、本業から外れた子会社への投資には、利益を生まないものが生まれやすいことを述べたが、それだけではない、バリバリの本業に関連した子会社の中にも、時流が変わればお荷物になることもある。そんな事例を紹介したい。

 

自動車業界が急成長していた頃。 どこの企業もフル生産を強いられ大多忙期を経験した。 造っても作っても、次から次へと注文がくる。 設備を増強し、人を臨時採用し、必死で対応してきた。 一部品メーカーのせいで、カーメーカーのラインをストップさせたら大変なことになる。 とにかく必死に対応したものだ。 それでも、労働力確保は日増しに深刻になっていった。 そんな中で、手を打ったのが、四国の田舎街である宇和島への工場 (子会社) 建設であった。 

 当時、宇和島には産業らしきものはなく、「漁業」と「みかん」ぐらいで、ひっそりと生計を立てていた地域である。 そんな所に大手企業が進出するのだから、地域から大変熱い期待を持って受け入れられた。 事実、経済的閑散地に雇用機会を創造させ、大いに地域活性化に貢献した。 

 しかし、時流とは、むなしいものである。 この労働力不足に国も対応するようになってきたのだ。 それは、ありがたいことではあるが、採用方法や就業形態を大きく変化せてしまったのである。 いつしか、労働不足を、外国人労働者の派遣で補うようになってきた。 コストも安いし、良く働く。 あっという間に広まった。

 こうなると、遠方に生産工場を進出させたことは、逆に足枷になってきた。 ご存知のように、自動車業界には「ジャストインタイムのモノづくり」と言う、世界に誇る生産方式がある。 これを支えるのが、下請け企業の並々ならぬ努力である。 このために「アッセンブリ―メーカー」の近くで生産することは常識となっていた。 

 我社もその戦略を永年取ってきた。 しかし、あの時点では、人の確保が期待できなかった。 人を確保する企業が勝つと思った。 そのためには、工場が人のいる場所に出ていくしかなかった。 勝ちにいった積極策が裏目に出たのである。

 労働力確保は出来たが、物流問題が勃発したのである。 中間物流が多発したのである。 設備投資を抑えるために、主要工程は本社工場が受け持ち、周辺の工程だけをこの工場で請持つことにしたのである。 このため、工程が分断され、中間物流が多発することになった。この中間物流のコストが重さなり、次第に価格競争力を失っていった。

 

 この頃、私は、まだ経理部長だった。 実務に追われ、子会社のことは頭になかった。 当然、何も動けなかったし、事態も理解していなかった。 そこに、社長のI氏から「撤退」の指示が出た。 社内の検討が一向に進まないことに業をにやし、社長が自ら決断をし、指示を出したのである。 あまりにも早い決断のため、疑問を抱いた者もいた。

 そんな中、原価を担当する取締役S氏が調査に乗り出した。 結果は、社長の思っていた通りである。 価格競争力は完全になくなっていた。 解決策も見つからなかった。  これで、撤退はより鮮明になった。

 ここまでは早かった。 社長のトップダウンで進めるやり方が功を奏した。 問題はここからだ。 手のひき方に頭を悩ましていたのである。 俄然、進行は足踏み状態になった。   

 その理由は、撤退することで発生する莫大な損失計上にあった。 私には、それほど大きな問題とは思わなかった。 子会社の損失は、連結決算上では、既に取り込まれているので撤退したからと言って、大きな損失は生しないことを知っていたからである。 それでも社長は躊躇した。 まだ、個別決算も重要視されていた時代なのでそれも納得できた。 ここで、ちょっと説明しておかなければならないことがある。 あの当時は、債務超過の子会社を清算したからと言って、債務超過額以上の損失は出なかったが、今は、ちょっと違う。

会計ビックバンで「減損会計」が義務づけられたからである。 「所有する事業用資産が将来見込まれる利益で回収できないと明らかになった場合は、その回収不能額を前もって損失に計上」しなければならなくなっている。 この規定に沿って処理をすると、それは、もう、びっくりするくらいの損失を計上しなければならなくなる。 それに、「宇和島に進出したことが誤り」だったことを自主申告するようなものである。 経営者として躊躇するのは、あたり前である。 あれだけ、全力疾走で検討してきた案件が、急に迷路にはまった瞬間であった。

 

 ここからが、私の出番である。 やれるかどうか分からないが黙っていられなかった。 また、手を上げた。 「私に、その対処法を提案させて下さい」 周囲は「おぉぉ、またかよ! 」っていう雰囲気に包まれた。 正直言うと、私にはこの雰囲気が心地よかった。 なぜか自分の存在が認められていくような気がしたのである。 「だから挑戦は面白い」と思えたのである。

実は、私には、外部にブレーンがいた。 出向元の税務責任者と、社外の税理士法人である。 このことは別の章でのべるが、 このブレーンに相談すればなんとかなると思ったのである。

 私の考えはこうである。 「清算すると大きな損失が出るのであれば、利益が出ている別の子会社と合併することで、何年かかけて、穴埋めをしていこう」と考えたのである。 至って簡単な考えである。 だが、実務面でいうと、なかなか難しいのである。 一般的に「債務超過会社を合併することは資本充実を訴える会社法では認められない」のである。 加えて「あらゆる所で税務問題が発生する」のである。

 面白いもので、壁が高ければ高いほど人は燃えるものである。 私も、昼夜を通して考えた。 そして、見事この壁を乗り越えた。 その方法は、税務上で認められるようになった「適格合併」の方法と、当時、流行っていた「デット・エクイティ・スワップ」を使ったのである。  まさに旬な方法を先取りするような手であった。 

 このマニアックな処理に、誰も議論に入ってこれなかった。 私の独断上となった。 社長も、すぐ了承してくれた。 早速、関係者を呼び、その決定を伝えた。 こうして、足踏みしていた案件は一気に進み出した。

 

 1件落着したが、実は、この話にも、続きがあった。

それは、半ば、私の独壇場できめた処理に賛成しなかった者も少なからずいた。 とりわけ、重荷を背負うことになった「子会社の社長」は、そのうちの1人であった。 「こんなのやってられないわ!」と、思ったのだろう。 別会社を設立し、自分が深く関与していた事業のみを持って出て行ってしまったのである。 残った事業を、私に、「社長をやれ ! 」と言うのである。 こうして、私自信が、重荷を負うことになってしまったのだ。 いやはや、言い出しっぺと言うのは、それなりのリスクを負うものである。 でも、この子会社の社員が頑張ってくれた。 年商100億円を超える立派な会社である。 予定よりも2年も早く目的を達成してしまったのである。

 

 ここまで、経験談を長々話してきたが、要は「大事を成すためにはブレーンが欠かせない」ということである。 それも、社外に持つことである。 社内では見つけられないことでも、外からは見えることが結構ある。 それに、過去に拘らない。 いつも、挑戦のスタンスを持つことができるのである。

子会社でも時間の流れでシナジーが持てなくなることがある。

  長期的な投資の中には、価値増殖サイクルから漏れ、消えていくものがあることを書いたが、これに手を打っていくことは並大抵なことではない。 後向きな処理など誰もしたくない。 それに、首切りや、給料見直し、配置転換などを伴うことが多いので、踏み込むことは誰だって避けたいものだ。 あとは「この会社を何としても健全なものにしていく」という強い意志をどこまで貫けるかである。 そこで、幾つかの事例を上げながら、この難関を突破していくためのヒントを提供していきたい。

 

 時は代わり、社長はIJC氏に代わった。この社長の座右の命は「敵、何万たりとも、我、戦わん ! 」である。 なんとも勇ましい限りである。 痛みを伴う改革もいともせず、次から次へと戦いの狼煙を上げた。 まず指示が飛んできたのが、ある子会社の縁切り指示である。 この子会社は多角化を目指していたころ買収した会社である。 今では、本業との関係も薄れ、殆どシナジー効果はなかった。 その会社を「売却しろ ! 」と指示が出たのである。  またしても、自分が手を上げた。 「その仕事、私に任せて下さい!」と申し出た。 別に英雄気取りではない。 過去と何の関り合いもない自分が、引受ける方が、ことが、うまく運ぶと思ったからである。

 

 ここは、上野駅を降りしばらく歩いた所。 バイク用品店が立ち並ぶ、ちょっと疎雑な感じがする地域。 その一角に小さなビルがあった。 「乗っても壊れないだろうな ! 」と思えるようなエレベーターで4階のフロア―に向かった。 ここを訪れるのは初めてだった。 ドアを開けるまでは、どんな雰囲気なのかを知るべしもなかった。 こじんまりした部屋にはIT機材が不規則に並んでいた。 いかにもIT会社らしかった。 即、社長さんとお会いした。 なんせ、今日初めてお会いするので、共通の話題など何もなかった。 で、即、本題に入った。 その社長さんは、唐突とも思える私の出方にびっくりした様子であった。 が、跳ね除けたりしなかった。 実は、この社長さんも我社と縁を切りたかったのである。 聞けば、「いつかは上場を目指したい。そのためには子会社形態では実現できない」とのことであった。 この社長さん、元は大手電気メーカーのIT部門の責任者だったが、そこからスピンアウトして、この会社を立ち上げた創設者であった。 なかなかの者である。 先を見つめる目と、高い志を持っていた。 「この人なら、この話は合意できる ! 」と直感した。 今日はこれで充分だった。 詳細は後日に廻すことにした。

 

 2週間後、私は再びこの会社を訪れた。 縁切りのための条件を話し合うためだ。 私の方から条件を提示した。 「条件は株式売却価格だけです。それ以外のものはスッパリ関係を切りましょう。 尾を引くようなものは何もありません。」 そう言って価格を提示した。  

提示した価格は、相続税評価額である「純資産価額」「類似業種批准方式」「配当還元方式」を平均した価格を提示した。 私には何の裏もなかった。 誠実な気持ちで算出した価格であった。 ところが、この社長さん、価格に異論を唱え始めた。 「今まで協力してきたものが一切含まれていない」と言うのである。 私は何にも反論しなかった。 と言うか反論できなかった。 何も知らないのだから。 そこで、相手の言い分を丁寧に聴くことにした。 うなずいてはいたが、決して妥協はしてはいなかった。 社長さんも言い疲れてきたのか、声も小さくなり、穏やかになってきた。 そんな頃合いを見て、今日はここまでとした。

 

2~3日後に、また、訪れた。 「前回提示した価格以外に、これ以上も、これ以下もない。 最初から何の打算もない価格です」そう切り出して話し合いに入った。 先回と同様に社長さんは、いろいろ要求し始めた。 私は、今度は全て否定した。 「昔の話をしたら、お互いに色んなことが出てくる。 良いことも、悪いこともお互いにあるでしょう。 この話に入ったら、今回の話は決着できなくなる。」 「私たちは上場会社です。理論的な価格でなければ株主に説明ではない」ときっばり主張した。 それでも、納得出来なかったのだろう。 結論は後日にさせて欲しいと申し出てきた。

 

 また、1週間ほど経った。 今度は、相手の社長さんが我社に来た。 我社の社長に会いたいとのことであった。 私は、交渉半ばだったこともあり、社長には途中経過は報告をしていなかった。 正直「しまった!」と思った。 「あれだけ相手の言い分を、ことごとく受け入れなかったのに、うちの社長が、相手の意見を聞きOKしたらどうしよう」報告していなかったことを悔やんだ。

 ところが、うちの社長さん「大石に全て任せてある。彼の言う通りである」と、私の主張を押してくれた。・・・お陰で、その日に、提案した価格で決着した。

 

 余談だが、この話にも裏話があった。

私が、最初に、この子会社に行こうとした時だった。 うちの社長から電話がかかってきた。「なぜ、君が相手の会社に行くんだ!。 必要だったら相手の会社に来るように言いなさい。」と注意された。 その時は「なんで、いちいち出張することまで、社長の許可を得なければならないのだ!。このくらいは任せてよ!」と思った。 あとで気が付いたのだが、私も、もう取締役になっていた。 だから、私が行くのではなく、相手を呼びつけるのが本来の姿だったんだろうと。 それを、うちの社長は言いたかったのだろう。 幸いにして、この逆転現象が、相手の社長さんの気持ちを、少しばかり、やわらげる起爆剤に働いた。 それに、うちの社長は、私の思いとは裏腹に、最初から私のことを全幅の信頼をしてくれたのである。 

 

ここから得た教訓は、

永年、苦楽を共にしてきた子会社と話をするときは、初めから、裏も表もない純粋な条件を提示することが必要だと言うことである。 途中で変えるような条件では、話はまとまらないということである。 それに、なんと言っても、最後は人と人が決めることである。「条件は理論的に、心は尊重しあう」そんなスタンスが大事である。

 

(追伸)

先日、この子会社のHPを見た。 実に10年ぶりだったが、業容も規模も拡大をしていた。 上場こそしていなかったが、確実に成長していた。 それに、「会社経歴」には我社の子会社であったことは何も書かれていなかった。 きっと、我社の傘下であったことは、この会社では何の意味もなかったのであろう。・・・そういう意味では、私の取った行動は、両社ともにムダではなかった。と確信した。

財務改革の次なる手は、価値増殖サイクルから、漏れ、消えていくものを無くすことだ ! 。

前回までの説明で、財務改善をするためには、2つの事柄があると述べました。それは、価値増殖サイクルをできるだけ早く回転させることと、価値増殖の高さを大きくすることだと説明をしましたが、もう一つ大事なことがあるのです。

それは、投入した資源が、この価値増殖サイクルの過程で、洩れ、消えてなくならないようにすることです。 これは、通常の生産活動の過程だけでなく、投資活動の中でも同じようなことが起こり得るのです。私は、いよいよ、このことについて手を付け始めた。過って、多角化を進めていたので、収益を生まない投資がいくつもあった。それを、一つ一つ整理していったのである。 

 ある日、何やら白熱した会議に出くわした。 最初はなんだか分からなかった。しばらくすると部品の生産を依頼している会社の経営問題であることが分かってきた。利益は出ているが資金難に陥っているようである。 資金援助すべきかどうか議論をしていたのである。 ところが、いっこうに話が前に進まない。議論だけが空回りしている。 我慢できず、手を上げた。 「その会社の状況を、私に見に行かせて下さい。」「調査結果を報告しますので、その上で、もう一度議論をして下さい。」・・・状況を全く知らない自分が、まあ、なんと、大胆な発言をしたものだと、後になって後悔をした。 そんな矢先、当時の購買部長のOHS氏が、そっと、寄ってきて「大石さん、大変なことを言いましたね。 実は、あの会社は我社から出向した者が社長をしているのですよ。それも、かなり堅物で、私も、何度か調査に入ろうとしたが、入口で追い返されて困っていたのです。 まあ、頑張って下さい。」・・・この言葉で、後悔は更に現実味を帯びた。

 

いよいよ、その日が来た。 私は、経理部から選り抜きの二人の課長であるK課長とF課長と共に現場に向かった。 私は、前の会社で監査部に所属していたことがあったので、この手のことは慣れていた。 まず別室に、その会社の社長さんを呼んだ。 社員に、この調査が公になることを避けるためである。 まず、この調査の趣旨を説明した。 凄い抵抗に合うかと思ったが、肩すかしに合った。 スムーズに開始できたのだ。 この手の調査は、担当者の意見を聞くより、生の資料を確認していく方が、ことが早く進む。 最初に取り掛かったのは貸借対照表の信憑性だ。 手法はIFARSの基準を使用した。 出るわ、出るわ。 次から、次へと「おや、まあ、こんなことまて゛・・・」と感心してしまった。 その処理の方法の詳細は、いろいろ誤解を招く恐れがあるのでこれ以上紹介することは避ける。 経営者には悪意はなかった。これが通常の処理だと思っていたのだろう。 平然と受け答えをしていた。 困ったことに、街の税理士はこの処理を指導し、街の信用金庫はこのことを承知しながら、担保があるからと貸し続けた。 我社からは派遣したM社長は、「朱に交われば・・・」である。すぐ、朱く染まってしまった。

 このように、誰も、ストップを掛けられなかったのである。 そのことが、事態を一層悪化させた。 そればかりではない、我社も遠巻きに「わー、わー」と騒いでいただけである。 関係者の責任は重いと思った。 

 幸い、私は、出向の身、過去とは何の しがらみ もない。 思ったことを、ズバリと言った。 会議で、次のように報告した。 「ここまで、悪化しているのだから、再生は不可能です。 再生するなら本気を出さないとやれない。 人も技術も管理手法も全て我社から出さなければ達成できない。」 そう言い切った。 驚いたことに誰も反対しなかった。 当時の社長K氏が動いた。 「やっぱり、そうだったか!」と、思ったのだろう。 早速、相手の社長を呼んだ。 「ここまで、悪化したオーナー側の責任は重い。 自腹を切ってでも財政悪化を出資で補え。 我社の指導にも責任があるので、再建には全面協力する」と説いた。 さすがである喧嘩両征伐を見せたのである。 しばらくして、その会社の社長さんは退き、私に助言をした購買部長が新しい社長として赴任していった。 本気で対応が始まったのである。 それから数年後にこの会社は新たな展開を見せた。そのことは、また、別の章で述べることにする。

 あっ、一つ補足しなければならないことがある。 それは、私たちが、かくもスムーズに調査できたのは、裏で、壮絶な戦いがあったからである。 実は、当時の専務であったOSR氏が事前に露払いしていたのである。 相手の会社に出向き、「調査に協力するように」と、申し出ていたのである。 相手の社長は激怒して「なんで、お前たちにパンツの中まで見せなければならないんだ」と叫んだらしい。 多分、過って親身に相談に乗ってこなかった我社への怒りが爆発したのだろう。 そこは、さすが専務である。キッチリ話を付けてきたのである。 そんなことを、何にも知らずに自分の手柄のように報告したことが、ちょっぴり恥ずかしかった。 

 

 以上、実例を紹介したが、大事なことをまとめてみたい。

短期の価値増殖サイクルから、洩れ、消えていくものは、それなりに、現場で気が付き、対策も早く打たれる場合が多い。 が、設備や他企業への投資など、長期に渡って企業活動に投入されるものは、意外と管理されていないことが多い。

 特に、下請先企業への投資には、このことが多くみられる。 資本注入している下請けは、当社の言い分を良く聞く。 要求するコストダウンにすんなり協力する。 政策浸透しているようでなんとも気持ちが良い。 この心地良さが間違いを起こすことにつながる。

気がつけば、抜き差しならない状態になっていたりすることがある。 こうやって、多くの大手企業は関係会社が次から次へと増えていく。 それらは、何の価値にもならない。それだけではない足を引っ張る集団となることがある。

これを避けるためには、「政策協力度」だけでなく、経営の安全度も確認しなければならない。 それには一つのコツがある。 それは「利益はいくらでも操作できるが、キャシュフローは嘘をつかない」という目で見ることである。 それに、いやなことでも、会社を守るためには、火中の栗でも、自ら拾おうとする意志と心意気を持って欲しい。

今日も新聞で「時短強化」の記事があった。日本の競争力を弱めないためにも、我ら、経営者は、その本質を心しなければならない。

ある、経営者の集いで「時短」が話題に上がった。 ▲「今時の時短はおかしい」「時短そのものが目的化してしまった」・・・なるほどと思った。

 世の中、過労で心身ともに疲れ、仕事への取組み方が見直されてきた。 しかし、いつしか、時短そのものが目的化され、真の意味も考えず「残業禁止」「有給完全消化」の大合唱となった。 横習え感の強い日本社会では、「時短」と言うスローガンだけが、あっと、言う間に広がった。 ▲これに反発した経営者からの意見である。

 

 私は、もともと、古い人間である。「こんなことをしているから日本は勝てないのだ。後進国に次々と事業を買収されているじゃあないか。 昔は、昼夜を問わずサラリーマンは働いたものだ。 早起きは3文の得と言ったじゃないか。 知恵の出せない者は汗を出せともいわれた。 そんな風潮の中で、私達は人の2倍働くためにどうしたら良いか・・・なんて、真剣に考えたものだ。」

 これ以上、話すと、四方八方から、お叱りを受けそうなので止めることにする。 実は、このお叱りを受ける発言の中にこそ、時短の真の意味が隠れているのである。

 

 つまり、「時短とは、時間の概念を変える」ことにあると思うのです。何気なく過ごしてきた時間の流れを見直して、同じ時間でも、中身の濃い生き方に代えるのが時短の本質だと思うのです。 ▲そう、昔の人間は、多くの「時間を費やすことで、付加価値を少しでも高めよう」 と考えてきたのですが、これからは、「時間当たりの労働力をどう高めるか」が求められるようになってきたのです。

 

「そんなこと、あたり前」と、思う方が殆どだと思いますが、これが、意外と難しく、いろんなところで、間違ったことをしているに、気が付かないことが多いのです。

 それでは、私の遭遇した現場目線から、その誤った事例をいくつか紹介しましょう。

 

 時は、事業拡大で経営資源がバラバラになり、企業体力が弱体化し、これを是正しようと緊縮財政を敷いていた頃である。 ▲全社一丸となってこの政策を展開していた。 おまけに、体育会系の物凄く元気な総務課長さんがいたので、この施策は瞬く間に徹底されていった。  

あらゆる経費をカットしまくって行ったのである。 その中に「交通費」のカットもあった。 その課長さんは、「逆方向に戻るような、高速道路入り口の利用を禁ズ」を打ち出した。 ところがである。 後戻りして東名に入る方が、主力取引先T社に早く着くのである。・・・確かに、目に見える「旅費交通費」はこの方が低減できる。 が、時間軸で見ると「移動時間として費やすのか」それとも、「早く着いた時間を取引先との打合せ時間として費やすのか」と言うことになる。 どちらが付加価値を生む時間なのかは明白である。

 

 次は、私が、「事務部門の生産性向上を進めていた」頃である。 その一環で、アンケートを取ったら、多くの社員は、「課題を沢山抱えると、まず、すぐ解決で来そうなものから片付ける」 そんなパターンが浮かび上がってきた。 人は、難しい課題に取り組む前に、周辺の問題を解決して置こう・・・と考えるようである。 多分、貴方の会社も少なからず同じようなパターンが大勢を占めると思った方が良い。

これも、時間軸で考えると、実におかしなことである。小さなことは放って置いても、大きな問題を先に片付ける方が、蒙る痛手は小さいに決まっているのに。 

 

最後に、取って置きの事例を紹介します。

それは、主力取引先の米国子会社で在庫が急増した時だった。 加えて、リーマンショックが重なった。 市場は一辺に冷え込んだ。 いつ回復するか見込めなかった。 取引先は、昨日までの増産大号令から、一変して急ブレーキを踏んだのだ。 我社の受注も、あれよ、あれよと言う間に減少していった。 2直フル稼働が1.3直ぐらいの生産量になった。

 この変わりようは普通ではなかった。 何かしなければ大変なことになる。皆そう思った。

 

そんな中で、当時の社長だったI氏が出した指示は、「1直生産を目指せ ! 」だった。

 

私は思った。「なぜ、こんな時に、そんなことを言うのだ !  1直にしたら、設備が遊ぶことになる。 設備は休んでも償却費は減らない。 動いてなんぼ ! のものだ。 だから、営業部門に向かって、『死にもの狂いで受注を取ってこい ! 』と、大号令をかけるべきじゃぁないのか ! 」と、

 

 でも、社長にはある打算があった。 それを分かっていたのか、名古屋工場のN工場長が立ち上がった。 彼は、マシンの能力と、それを操る人間の能力を徹底して調べ上げた。 

そして、人間の能力よりも、マシン能力の方が上回るショップをピックアップしていった。 さらに、マシンがフル稼働できるようにと、不足している人を次々に追加投入していった。  

ことは、そう簡単ではない。 投入すべき人工は、1人工に満たない端数の人工なのだ。ここが、彼の真骨頂である。 現場を良く知っている。 個人レベルの能力と適正を知り尽くしている。 それを駆使して、人の適正配置を繰り返し、この難問をクリアしていった。

 それだけではない。 単に不足する人工を投入するだけでは、全体の人工は増加してしまう。 人を増やさず1直化を実現するためにはどうしたらよいか も、考えていた。 

彼は、各ショップの能力の違いに目を付けた。 このアンバランスは中間在庫を増やすだけで、全体の生産を上げることには結びつかないと考えた。 この頃は、どのショップもフル生産していた時期だったから、それぞれが最大生産を狙っていたので、「君のショップは少し生産をさげても良いよ ! 」には驚いた人が多かった。 彼は、こう言って、必要以上に生産しているショップから、少しずつ人を引き抜いていった。 それを、人工が不足しているショップに投入していったのである。 彼は、こうして、新たな人を採用せず、見事「1直化」を成し遂げたのである。 これを機に、工場採算は一気に改善されていった。 

 

実は、I社長は、このことを狙っていたのである。

得意先の過剰在庫問題は一過性である。ある時間が経てば回復される。だけども、リーマンショックによる市場の冷え込みは先が見えない。 だから、受注拡大よりも、なお、一層の生産工程による合理化が必要と考えたのである。 しかも、抽象的な指示ではなく、完成形の姿を指示することで、その目的達成に火をつけたのである。

 素晴らしい経営者と、実現に執念を燃やした工場長の素晴らしいチームワークだった。

 

いろいろ実例をあげて説明したが、

時短とは、時間に焦点を当てて、今を変えることだと思う。

無駄な時間は省き、より生産性の高い時間に切り替えていくことが不可欠である。

これなくしての、時短は、会社の、日本の、競争力を弱体化させることに他ならない。

IFARSも知らないようでは、M&Aはできない。

鴻海によるシャープの買収が話題となっている。・・・こんな書き出しを考えていたら、今度は東芝事業売却の話が出てきた。 サンヨーがなくなり、シャープがそれに続き、今度は東芝が・・・。 「東芝よ、お前もか ! 」って感じである。 本当に、電機業界は、M&Aの嵐が吹きまくっている。 そこで、今回はM&Aについて、述べてみよう。

 

M&Aをする時、その買収額をどうするかがとても難しい。その企業をいくらで、買収するかは、その買収する会社の踏み込み次第で、いくらでも、かわる。

 勿論、出発点は、買収される会社の財務状態や、将来の稼ぎ具合で決まるが、その額はあってないようなものである。だって、将来の稼ぎなんてものは分からないのだから。 ▲それでも、各企業は、少しでも有利にことを運ぼうと、必死に買収額を計算する。 ▲こんなに不明確な額を、取って付けたような計算式ではじき、相手と丁々発止の交渉をするのは馬鹿らしいと思うが、なぜか、こちらの言い分が通ると嬉しいから不思議なものだ。

 ところが、厄介なのは、無知な相手と交渉することである。自分の現在価値も知らず、最初から「えぃー、やー」って決めるやつがいる。 スタートラインにも立てない何ともみすぼらしい輩である。 そうでなくても、複雑な額を交渉しようとしているのに、スタートラインがどこかも見えない輩たちと交渉するのは、本当に、煩わしいものである。 ▲そんな輩に、物が言いたくて、今、この投稿を書いている。

 

買収額は、まず、現在価値である「純資産額」から出発することが普通である。ところが、この純資産額は、昔と、今では、様代わりになっている。 ▲日本の貸借対照表は、過大資産と過少負債が問題とになり、世界から相手にされなくなっていた。 ▲それを是正するために、2000年から、「IFARS (International Financial Reporting Standard ) 」に近づけるための改定が行われてきた。 これなくして、今や、企業の現在価値を把握することは不可能である。 ▲そこで、M&Aに携わっている方に問う。貴方は、次の科目や会計基準が分かりますか ? 。・・・・・・「時価会計」「低価法」「減損会計」「税効果会計」「減価償却不足額」、「退職給付会計」「資産除去債務」「偶発債務とそれに係る各種引当金」「事業リスクの表示」・・・・もし、これが、分からなかったら、貴方は、M&Aに関わる価値がないことを自覚して下さい。 もし、貴方が、その分野の人間だったら、さっさと、交渉は専門家に任せて欲しい。 あっっ、街の税理士や、昔の経理マンではダメですよ。世界基準を理解している会計事務所か、証券会社のプロに任せて下さい。 

 

ここまでは、基本中の基本だ。 M&Aはこれからが本番だ。 だけど、ここからが複雑である。 とても、一辺倒な方法ではないのである。 だから、この先は、私が経験してきた数久の実例もとに説明していく。 久々に「経理の知らざれる戦い」の復活である。 どうぞ、臨調感あふれる実話を楽しんで下さい。続きは、明日に廻すことにする。

偶発債務なんてものは、はなから不透明なものさ !・・・そう思って買収しなきぁー。

鴻海とシャープの「偶発債務問題」に思う。

 

鴻海精密工業によるシャープ買収の本契約が遅れた要因の「偶発債務」とは、一体、何なのか? ▲こんなマニュアックの話は会計に携わっているもの以外には、めったに、話題に乗らない。折角だから財務マンとして、意見を述べさせて貰うことにした。

 この「偶発債務」の鴻海側への情報提供のタイミングについて、いろいろと意見が出ている。そのほとんどが、鴻海側のM&Aの甘さに集中している。その中で、テレビ大阪だけがシャープ側の落ち度を指摘している。どちらが、正しい見方なのかについては分からないが、私は、会計に携わる現場の立場から、偶発債務処理の難しさを論じたい。

 

 その前に、「偶発債務」とは何かについて触れて置きたい。それは「現時点では発生していないが、将来的に一定の条件が満たされた場合に、発生する可能性がある債務」と定義されている。そして、金額が合理的に見積もることができるものは貸借対照表上に「引当金」として計上し、金額が見積もれないものは「注記」として記載することが求められている。・・・こんなこといっても、まず、一般の人は分からない。 ▲それだけではない。税理士や、中小企業の会計担当者、それに、上場会社に勤めていた者でも10年前にリタイヤしたOB経理マンは、たぶん分からない。試しに聞いてみるのも面白い。 なぜそうかと言うと、日本の会計基準は2000年からの「会計ビックバン」で、その内容が大きく変わったからだ。それを機に、会計と税務の隔たりはより大きくなった。だから税理士は分からない。税理士としかお付き合いしない中小企業の会計担当者も当然分からない。 ▲それに、昔の会計基準は「実現主義」だったから、先のことや、予測については会計では関りを持たなかった。それが、将来予測も含めた会計に変わったのだから、頭の固くなった昔の経理マンには理解できないのである。

 

 ちょっと話がずれてしまったが、偶発債務とは、「今は債務ではないが、将来は、債務になる可能性があるもと」言うことになる。 だけど、これだけビジネスが複雑になった現在では、こんなことは限りなく存在していると思う。 だから、「どこまで書くのか」の判断が大変難しいのである。

 

そこで、当該のシャープの公開情報を確認してみた。

  1. 債務保証124億円 
  2. ソーラーパネルの原料買い予約残高387億円 
  3. 電気料金の長期契約439億円 
  4. 欧州、米国での訴訟 (金額は見積もりできない)

これ以外に、金額が見積もれる偶発債務は、注記ではなく、貸借対照表に引当金として計上されているものもがある。 それは、「製品保証引当金」「訴訟損失引当金」「事業構造改革引当金」「買付契約評価性引当金」など計上されていた。 ▲正直、「こんな大会社でこんなもん?」と、思ったが、パナソニックも同じようなもんだった。 少ない気がするが、天下の大監査法人がお墨付きをしているのだから、まー、そうなんでしょう。

 

 実は、この「偶発債務」を、経理が把握することは至極難しいことなのである。なぜかって言うと、経理は、昔から、金の動きで取引を認識してきた。 なのに、今では、金が動かなくても会計の対象にしろと言うのだから、さー、大変と言うことになった。仕方ないから、金が動かない新種の取引や契約が発生したら、その内容を聞きまくるしかない。ところが、関係部門はそう簡単に教えてくれない。だって、やばいものは、出来るだけ秘密裡に実行するのが人の常であるから。そこで、私は、監査部門を使って、そのことを拾い出そうとした。

 これが、また、難しい。今のJSOX ( 日本版-内部統制 ) 法は、経理部門の不正処理ばかりを気にする。だから、監査部門は経理部の周りをウロウロする。そんなじゃなくて、本来は、経理部以外のところに目を向けなければならないのに、なぜか、そうならない。仕方ないから、経理を統括する責任者が自ら聞きまくるしかない。 ▲幸い、私は、経営の中枢部にいたので、いろいろと情報が入ってきた。それを、秘密裡に聞き出し、限られた人数で検討することにしていた。 今は、海の物か山の物かも分からない状態のものを、どこまで、開示すべきか判断することに大変苦労の多いものだ。私のモットーは「行き過ぎた処理でも、原則を無視した処理でもいけない。全ては事実とのバランスを大事にする」ことだった。 ▲2000年から始まった会計のビックバンには、このような、難しい判断を求められるものが、山ほどある。

 

 そんな中で、迎えたのが、「シャープ側から鴻海に通知された偶発債務のタイミング」問題である。 そもそも、偶発債務を認識するには限界があるのは当たり前である。 それを、できるだけ沢山書けと言うのもおかしい。 いらぬ心配はしない・・・と考えてもおかしくない。

それを補うのがデューデリジェンスなのだ。 契約前までにデューデリジェンスを実施するのは当たり前。鴻海もやっているはず。なのに、100項目に及ぶ3,500億円の偶発債務を知らなかったとは考え難い。 それに、追加報告された偶発な債務には「構造改革に必要な退職金」「他社との契約に関する違約金」「政府からの補助金の是正」などが含まれていると言う。 こんなものは、買収によって、新たに発生する債務なのだから、買い手が、確認しなければならないものである。 これが、会計の現場を受け持つ者としての見解である。

 

 実は、私は、中小企業を相手に、幾つかの買収を手がけたが、旧態以前の会計基準を振りかざして、「自分の会社は、こんなに安い評価ではない」と、大声を上げる。

困ったものである。もっと、会計を勉強して欲しいと思う。

そんな思いを込めて、会計ビックバン前の「日本の会計基準」が、いかに用をなさないもであったかを、次回に投稿する。

また、一つ、会社が消えた。 (鴻海のシャープ買収の先に見えるもの)

 前回の投稿で、電気、自動車、建設の下請け企業は、仕事量が減少してきており、アップアップしている企業が多くなってきている。 それは、規模拡大に邁進して、思いのほか小回りが効かなくり、産業構造が変わってくると、一転して坂道を転がり落ちるようになる。 これは、下請け企業だけでなく、大手企業も同じである。・・・そんなことを書いた。

 

 そんな折、私は、朝からパソコンを眺めている。 私が勤めていた会社の株価推移を見ている。 この日2/24(水)を持って、この会社は株式市場から姿を消すことが本決まりになる。 ▲今のところ、株価の推移は落ち着いている。大きな変動はない。11時になった。間を入れず「○○会社との株式交換の議案が可決された」とのニュースが流れてきた。 実にあっけなく終わった。 これで70年間の歴史に幕が下りた。 寂しい限りではあるが、いたしかない。 グループ企業間での事業再編によるものであり、グループ全体の資本の論理には勝てない。

 

 そんな中傷的な気持ちになっているところに、「鴻海精密工業によるシャープ買収」のニュースが流れてきた。 これもショックである。 強いはずの日本企業が、なぜ、台湾の企業に・・・。 切ない気持ちでいっぱいになる。    ▲日本の電機メーカーはサムソンに負けてしまった。 売上高で見れば、日本の大手8社の合計が46兆円程度であるのに比べ、サムソンは1社で20兆円規模である。 実に約半分に迫る大きさである。 利益で見ればなお深刻だ。 日本連合軍が1.7兆円、サムソンは3.7兆円と、3倍に近い実績を叩きだしている。 ▲これでは、大手と言えども、「あの会社が、まさか !」と言うことが起こっても、決して不思議ではないように思う。 ▲日本には電機メーカーが多すぎと言うのである。 日本企業同士で戦っているようでは海外メーカーに勝てないのだ。 ここは合体して戦うしかないと考えるが常道だろう。

 

 そんな視点で、考えれば、今回のシャープの再建は、鴻海ではなく、産業革新機構(政府系ファンド)に決めて欲しかった。 液晶事業ジャパンディスプレイと合体し、家電部門東芝と合体する案だったようだ。 まさしく日本連合を作り、世界で戦える構造を作り出そうとしていたのだ。こちらの方が日本の産業を守るためにも絶対有益だと思う。・・・では、なぜ、そうならなかったのか?。

 

 そう、ここでも、資本の論理が、その選択を決めた。・・・と思う。つまり、鴻海の提示した破格の条件に負けのだ。 時価総額は2 000億円程度だったにもかかわらず、6,000億円出すというのである。 「これを断ったら、株主に言い訳ができなくなる。(ある幹部の話)」・・・と、考えたようである。 それに、メインバンクである三菱UFJ銀行も、みずほ銀行も追加融資の負担を嫌ってか、鴻海側の提案を強く推したようである。 日本の産業を守ることよりも資本の論理が勝ったのである。

 

 大義よりも資本の論理が、まかり通った事例はこれだけではない。 三洋電機の消滅した時もそうだった。 あの時は、住友銀行を筆頭とする金融団が、今まで親密な関係から、一転して、有力事業を次々と他社に売却してしまった。 残った本体はパナソニックに売ってしまった。 ▲従業員はみじめなものだ。 パナソニックに吸収されたのは、たったの9000人程度。 あとの9万人は散り散じりバラバラになってしまった。(会社が消えた・大西康之著より)。 ▲資本の論理とは、かくも無情であり、損得で動くものである。

 

だから、大手は、資本の論理を恐れ、いつも、突っ走ることになる。 休んでなんておられない。 それが、規模拡大に走らせるのである。 規模拡大は小回りが効かない。市場が下降トレンドに変わったり、台頭するメーカーが現れたりすると、一気に坂道を転がるようなことが起こる。

 

 ここからが、私の自論であるが、シャープが鴻海を選択したのは誤りのように感じて仕方ない。 なぜかと言えば、鴻海は、世界のあっちこっちで、大手企業の生産請負をしている会社である。 その規模も資金力も凄い。 ただ、開発力には乏しく、単純労働を安い労働力で行うといった「偉大なる中小企業」であるからだ。 労働争議や従業員への叱責も話題になっている。 こんな会社が長続きするはずがない。 いずれ、次の途上国に負け、坂道を転がることになる。 そんなことを危惧して、シャープの技術を目的に大金を出すのである。 だから、「40歳代までの従業員はリストラしない」ってのは、嘘ぱっちだと思う 。だって、台湾が目指す安い労働力に日本人が我慢できるはずがない。 買収が決まったら、バサバサ賃金カットや、希望退職が始まるのは目に見えている。・・・こんな風土の中で、残った従業員が燃えるはずがない。

 

産業革新機構志賀俊之会長は『本当の再生は、「意欲」から始まる』と、言っている。 本当にその通りだと思う。 資本の論理ではない。従業員一人一人の人間力が再生の成否につながるはずである。 「日本産業のため、シャープの再生を願うなら、鴻海を選択したのは、誤った選択だと言うしかない。」

 

PS

次回は、鴻海の正式契約を遅らせた「偶発債務」について、財務マンの作り手サイドから意見を述べる。

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「驚くべき経営戦略」の根源を見た。

 1/14で「大企業が忘れかけていたもの」と題して、ある中小企業が驚くべき経営戦略を展開していることを書いた。 ▲そして、2/21には「素晴らしき経営者の原点を見た」として、その驚くべき経営戦略はいかにして生まれたか・・・の、入口部分を書いた。 ▲そう、まだ、本題には触れていなかったのだ。そのことが、とても、気になっていた。 ▲本当を言うと書けなかったのである。なぜ、そのような発想が出てくるのか、いくら考えても分からなかったのである。

 それが、なんとなく、分かってきたような気がしたので、本日の投稿となった。 ▲でも、まだ「分かってきたような気がする」程度であり、本質まで行き届いてはいない。だから、この投稿を読まれる方の賛同は充分に得られないと思うので、その点をご容赦願いたい。

 

 色々、考えたが分からない。 もう、直に行って確かめるしかないと思った。 そこで、私特有の「押しかけ訪問」をすることになった。 幸い、ある大手メーカーの協力会の人達が見学に来ると言うので、無理やり、その中に混ぜて貰った。 会議室に通された。 社長さんの説明が始まった。 冒頭、社長さんは「今日は、私の友人である大石さんが、我社のことを知りたいといって同席させて貰っておりますので、ご了承下さい。」と、紹介をしてくれた。 場違いの私をこう紹介してくれた。 身に余る気の使い方に感謝をした。 後で思えば、この「人を大事にする」ことこそが、驚くべき経営戦略の根源であったような気がする。

 

 映し出されたスライドに添って、説明が進んでいく。 どのスライドも私には新鮮なものに映った。 次々と新鮮なスライドが流れていった。 何枚目だろうか・・・「会社は誰を大事にすべきか?」と言うタイトルに入った。・・・・▲どう、皆さんは誰を大事にすべきと思いますか?。 ・・・上場会社に勤めていた私は、真っ先に、「株主だろう」と思った。 ・・・それも財務を担当していたから、余計そう思った。 ・・・僕と同じように考えた人も少なくはないと思う。 ところが、この社長さんは「従業員」だと言った。 その次は「従業員の家族と仕入先」、次は「お客さん」、「地域社会」。株主はなかなか出てこない。 最後に出てきた。 ・・・「これだ!」と思った。 中小企業だから、オーナー会社だから、株主とは自分のことだ。 この自分を最後に位置付けたのである。 ▲さらに、もう一つ、あった。・・・会社の力は何で創られているかと言って、スライドを代えた。 そこには「競争力」×「財務力」×「人間力」と書かれていた。・・・どれが一番重要か?と、問いかけてきた。 会社で事業計画に関わってきた私は真っ先に「競争力」を挙げる。 財務力も人間力もそれは外部から調達できる。 競争力は自ら作り出すものである。だから、最も重要視すべきものは「競争力」であるはず。・・・・これが私の考えである。・・・ところが、この社長さんは違った。「人間力」を掲げた。

 この2つの、人(従業員)を大事にする考えが、他に類を見ない「ゆるぎない経営戦略」を打ち出し続けている根源だった。

 

製造小売業→工業の六次産業化」、「世界最速工場→海外受注を国内で対応できる工場作り」、「考え、作り、売る→どんなものでも作れる柔軟な工場へ」、「小口顧客、小口受注、多品種小ロット生産→ぶれない事業構造」、「80%で満足が得られる経営→余力を残し臨機応変に対応できる経営」・・・・あげたらきりがない。 素晴らしいと言うしかない。・・・これらの根源には、従業員の考え、行動することが、会社を繁栄させることだと言う信念がある。

 

 それに比べ、我々大企業の経営はどうであろうか。大量生産をずーと指向してきた。財務力を武器に、生産設備を増強させ、従業員を過労働に追いやり、量を求めてきた。そうすることが競争力を増すことだと思った。その典型であった電気や自動車、建設はどうであろう。市場が成長していたころは良かった。でも、今は成熟市場。気がついても、そう簡単に舵を切ることができない。なんせ、精一杯走り続けてきたのだから、ちょっとでも力を抜いたら、赤字転落する。 もう、つき進むことしかできない体質になっている。 ▲今や、電気、自動車、建設の下請け業者は、仕事量の減少で、アップ、アップしている。 今まで、大量生産に付き合っていくことを無理強いされてきた結果がこれである。 急に、他のものを作れっていっても無理がある。 ▲いずれ、大手にも、同じ結末が待っているかも知れない。

 

PS

・次回は、この関連として「鴻海精密工業とシャープの関係」について述べる。

・ここで、取り上げている「驚くべき経営戦略」は、「日本で一番残したい会社」として、中小企業庁菅賞を受賞された「沢根スプリング(静岡県浜松市)」さんのことである。

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素晴らしい経営者の原点を見た。

諸事日記
僕は車の中で、いろいろと考える癖がある。
今、春野に向かって車を走らせている。
ゆうに1時間はかかるだろう。
だから、いつもの癖で、いろいろと考えている。
数日前から、沢根スプリングさんのことを考えている。(写真1)
どうして、あんな素晴らしい発想ができるのか を、
僕には、とても、思いつかない経営戦略である。
手法は間違っていない。でも、出てきた答えは、ぜんぜ~ん違う。なぜだろう。いくつか思い当たるものがある。が、それだけではない。何か、根本的に僕と違うものがある。それは何んなんだろうか?・・・と考え続けて、もう3日めである。(見えてきたらブログに投稿します)

 そんなことを考えている間に、車は、周智トンネルにさしかかった。▲「おっ、何か貼ってある。」そこはトンネルカェ。オーナー大脇さんからのメッセージだ。▲「バイクドライバーの皆さん、いつも、応援ありがとうございます。3月から皆さんが泊まれ、休憩できる場所をオープンします。素晴らしいバイクライフをお楽しみ下さい」。その横には、風情ある古民家の写真が貼ってあった。 ▲ほかに、地域の人達とノルデックウォーキングを楽しむ写真も貼ってあった。
 実は、僕は、大脇さんの行動に一目置いていた。▲それは、単なる慈善活動ではなく、ちゃんとビジネスを展開していることにだ。▲こんな田舎でも、成り立つビジネスモデルを構築している。地区割りしたオーナー制の茶園運営。日本茶の良さを訴え海外市場開拓に走り回る。6次産業化に向けての静修クラブ立ち上げ。農業小売り化へのテストケースとしてのトンネルカフェ。とにかく忙しそうに動いている。 ▲それだけじゃあない。地域の人達から信頼と賛同を得ている。もう、立派な経営者だ。▲この素晴らしい経営者像に僕は一目置いているのである。 ▲看板を見ている僕の頭の中は、さっきまでの沢根スプリングさんのことから、大脇さんのことへと移った。▲そして、大脇さんの活動を支える原点は、いったい、なんだろうか? と考えている。

 でも、すぐに目的地に着いてしまった。そう、ここは、中村文昭さんの講演会場。もうたくさんの人達が集まっていた。始まった。素晴らしい。とにかく、笑いと、涙の連続だった。地域起こしの話だと聞いていたので、さえないコンサルの話だろうと軽く見ていた が、ぜーんぜん違った。決して難しくはないが、目から鱗である。人生の中で起こったことを話しただけである。が、その時々の出合いで、彼の取った「考え」と行動」が、ぜーんぜん違った。50歳に満たない人から、66歳になった自分が、人生について、いろいろ教わった。ちょっと、情けないが、悪い気はしなかった。▲そればかりではない。車の中での疑問が、この数日間考え続けた疑問が・・・その答えが見つかったのである。(写真3)

朝から大雨。しかも、ここは山中の田舎町。止めようと思ったが、来て良かった。素晴らしい一日になった。

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中高年の自動車考とは?

電話が入った。山奥の道を走っていたので車を土方に止めて、受話器を取った。「M社販売です。その後分かった情報をお伝えしたくて電話をさせて頂きました」

 それは、昨日、1年目の定期点検を受けたカーデーラーからの電話だった。ご丁寧に、追加情報を連絡してきてくれたのだ。レーザー・ブレーキ・アシストシステムについてであった。当日は、4度も路上テストをしてくれたが、1度も作動しなかった。そのことに対しての補足情報であった。▲僕の言い分に、デーラーが充分付き合ってくれたので、そのこと自体は何の不満も残っていなかったが、この電話を聞いているうちに「自動車事情も随分かわってきたなー。中高年にとっては、ちょっと、ついていけないなー」なんて思った。

 そこで、中高年の自動車考を書いてみた。心あるカーメーカーがあったら、是非、考えてみて欲しい。「古いなー」なんて言わず、これも、少子高齢化の現在においては立派なCS視点だと、我慢して、読んで欲しい。いくつかの体験談を通して語ってみる

①.実は、昨日、息子が出社前に車が動かなくなった。この寒さでバッテリーがいかれたようだ。そこでブースターを持って私が駆けつけた。息子がボンネット開けたら「おおー、バッテリーがない」。D社のH車だ。こんな狭い所にごちゃごちゃと、何やら、色々とつまっている。私にはラジエターの水を入れる栓ぐらいしか分からなかった。息子が取説の小さな文字を拾って調べている。なんと助手席の下にあった。「おー、こんなところにあったか・・・」そう言えば、現役のころ、インドのタタ社の極安車を会社で購入し調べたことがあった。バッテリーが裸のまま、助手席の下に置いてあった。バッテリー液の流出を考えたら、こんな所には絶対置かないはずだ。と、バカにしたが、何と、日本車も同じ所に置いてあった。

 軽の規格の中で、無理やり、車内空間を確保しようとするカーメーカーの思考であるが、こんな無理な設計は、きっとコストも割高になるはずである。それにもまして、ユーザーから見れば、何とも不思議に映る。

②.行き過ぎた開発競争の影響が他にも見られる。余分な装備を徹底的に省く姿勢だ。 私は、S社のH車に乗っていて山奥でパンクした経験を持つ。ここでもビックリしたことが起こった。それは、ラゲッジルームを開けてパンク修理に必要な装備を出そうとした時だ。 ない、ないのだ。ジャッキも無ければ、スペアタイヤもない。車底を覗き込んでもやっぱりない。あるのは、携帯用ガスボンベみたいなものが一つ。やばい、取説を調べる羽目に。見えない。少し老眼が入り始めた私には、こんな小さな文字は見えない。ここまできたら、自力で修理することを諦らめるしかなかった。JAFを呼ぶことにした。携帯を出して電話した。「おー、通じない。えー圏外だって」。またもやである。仕方ないから携帯を片手に通話可能範囲を求めて、さまよい歩いた。ここは、山ん中。坂道は中高年には辛い。やっと、通話圏にたどり着いたと思ったら、今度は、自分の居場所を伝えられない。周りには標識も無ければ、電柱(書かれている番号で場所が分かるらしい)もない。ここは山ン中。それも、かなり山奥。「最後の頼みの綱も、もはや、これまでか・・・」と、本気でそう思った。その時、別荘仲間が言っていたことを思い出し、携帯で、緯度と経度を調べてJAFに告げた。これで大事を免れた。

 もともとは、スペアタイヤが装備されていないことで起こったことである。デーラーに聞いたら、「今どき、自分でタイヤを直す人はいないんです。皆さんJAF頼みなんですよ。ですから、メーカーも標準装備から外したのです。代わりにパンク緊急補修用のボンベが置いてあります。でも、お客さんみたいに釘が原因の深い傷は無理でしょうね。」・・・・車事情も随分変わったものだ。最悪のことを考えていない。いくら価格競争が激しくなったからと言って、見えないところで、大事なものを省いてはいけない。・・・そう思った。

③.そして、今度の、S社のH車に装備されているレーザー・ブレーキ・サポート・システムの件である。4度のトライで1度も作動しなかったことについてである。「作動する条件は15~30km/hの場合です。それ以下でも、それ以上であっても作動はしません。警告ブザーが鳴るだけです」・・・どうも、我々のトライはこの条件の範囲を超えていたようである。・・・・「う~ん。だけど、ちょっと待てよ。この速度しか作動しないって????」。これって、法令で言う「徐行運転」って言う速度じゃないの。こんなで、本当に事故防止できるの。全く持って不思議に思う。それに、このシステムが本当に作動するかどうかなんて、車検でも、定期点検でも確認しない。各社同じような機能を持った車を出しているが、どこのメーカーが一番優れているかも分からない。国で認めた5つ星みたいな評価基準があれば助かるのだがそれも無い。宣伝文句ばかりが先に進んでしまっているように思う。もし、用をなさない機能であるならば言わないで欲しい。妙な念書にサインしてもらうようでは恥ずかしいではないか。

 

 色々と好き勝手なことを書かせて貰ったが、我々、中高年に優しい車を作って欲しい。そのことだけを願って投稿させて頂きました。ヒントはいろいろ書きましたので、是非、参考にして頂ければと思います。なお、僕の購入したデーラーでは、メーカーの足らない部分を懸命に補っていることを申し加えさせて頂きます。

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若きサービスマンが取った「思いもよらぬ行動」に大感激

自宅に一通の「はがき」が届いた。

それは、購入後一年目の「定期点検」の案内だった。

そう、私は、S社のH車を購入し、今日で一年目を迎えた。

車の調子は、いたって順調で何の不満もなかったが、一つだけ疑問に思っていたことがあったので、いい機会だから、それを確かめてみようと、ディラ―のドアをたたいた。

「えー、〇〇と申しますが・・・」

その一言で、私に関係する書類がすーと、カウンターに出てきた。

さすが、ディラ―だ。感心した。

「あのー、調子はいいんですが、一つだけ確認したいことがあるのですがぁー」

私は、期待感をもって、こう、切り出した。

「実は、1年も乗っているのですが、危険時に自動でブレーキが作動するとお聞きしていたのですが、まだ、一度も体験したことがないのです。本当に、作動するか、どうか、確認してもらえませんか?」

明らかに、驚いた顔付に変わった。そんなこと、聴かれたこともなければ、対応マニュアルにも書いてない。きっとそう思ったのだろう。返事にちょっと時間がかかった。

ディラ―:『システムで制御されているので心配ありませんよ』

私   :「いゃー、システムと言っても見えないしなぁー、心配だなぁー。」「バーチャルでも、いいから検証してもらえませんか?。そう、あのバイクの教習所で、路上運転の変わりに、ゲーム機みたいなもので危険体験をする、あのやり方みたいなもの、あるでしょう?。有名なカーメーカーだから、その位あるでしょう?」

 ディラ―:『ないですが、カーメーカーで確認しているはずですから、大丈夫ですよ』

私   :「カーメーカーでは、どのような方法で確認されているのですか?」

ディラ―:『・・・・・』

私   :「分からないんですか。困ったなぁー。だったら、段ボールかなんかを置いてテストして貰えませんか?」

ディラ―:『そんな無茶いわないでくださいよ。』

ふがいない答えの連続で、私の声も次第に大きくなっていった。

私   :「こんなじゃ、事故が起きてみないと分からん。と言うことですか。エアーバックと同じかよー」

さすがに、この人、困った。なんと、自分の部下に相談をしたのだ。

代わりに出てきた若きサービスマンが、驚くべき対応を見せた。

若きサービスマン:『お客様のご心配もよーく分かります。私が運転しますから、体験してみませんか?』

おー、危ないじゃん。一瞬そう思ったが、自分もここまで言ったからには後には引けない。そう思い直して同乗することにした。

若きサービスマン:『実は私も同じ疑問があり、先日、同じメーカーのワンランク上の車で試してみました。』

『そうしたら、ちゃんと効きました。それで安心してお客様に進めることができるようになったのです。』

『でも、軽では試したことないんです。ちょっと不安ですが、慎重に運転しますので、心配なさらないで下さい。』

そう言って4度トライをした。で、一度も成功しなかった。

普通だったら、ここで、激怒するところであるが、不思議と私の心は穏やかだった。結果よりも、私の言い分に、とことん付き合ってくれた、この若きサービスマンに感心していた。

若きサービスマン:『お客様のお陰で、貴重な体験ができました。このことを、カーメーカーに伝え、満足して頂けるような情報を用意させて頂きます』・・・と、御礼を忘れていなかった。この言葉で、私の無理なお願いも、無理押しではなく、役に立ったと、妙に満足感を与えてくれた。

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経営コンサル「企業参謀」の立ち上げ

諸事日記

今年は経営コンサル業の本格活動に入りたいと思います。

今、国の政策も「地方創生」や「1億総活躍時代」のもと、中小企業向けの予算もふんだんにあります。▲この助成金を使って「経営革新」をしてみませんか。

 相談窓口は、地元の「信用金庫」や、「商工会議所」、それにネットで検索すれば「国」や「県」の窓口が沢山あります。私もこれらの機関と連携して動けるようにしておりますので、いつでもご相談下さい。

今まで培ってきた上場企業の経営方法や管理方法を充分お伝えをして、中小企業が元気になるお手伝いや、若き経営者や財務マンの育成に寄与していきたいと思っております。つきましては、当コンサルの特徴を下記しますので、お気軽にお声を掛けて下さい。全力で対応させて頂きます。

            記

●得意分野・・・経営革新、事業再生、事業計画立案、利益改革、財務改革、利益向上に向けての会議体、組織、システム構築、など、経営改革全般。

●コンサルプロセス・・・収益分析から課題抽出をし、外部環境や企業力からSWOT分析を通し、持続成長のための事業ドメイン、ターゲット市場、競争力資源のあり方、リソーセス確保など経営全般にわたっての戦略を明確にさせます。さらに、その戦略実現のために必要な社内体制やシステム構築について提案をさせて頂きます。

●コンサルのスタンス・・・分析重視、暗黙知形式知に、提案内容にストーリー性を、決めたら拘る。

●経営への思考パターン・・・当ブログの過去投稿を参考願います。

●連絡方法・・・当ブログにコメントをお入れ下さい。改めて、こちらから連絡させて頂きます。

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