財務責任者は、世界を股にかけた資金のプロデューサーであれ。

第五章  資金の回転と財務改革との関係これは、財務改革のために戦い続けた「経理の知られざる戦い」の記録である~

~~~前からの続き~~~

 

資金の流れはグローバルに考える)

緊張感だけでは資金の問題を解決させることはできないことは充分承知している。この米国生産法人は「充分に利益が出せないために支払資金がつくれなかった」のであるから、そもそもの原因である「利益改善」なしでは、解決できない。このことは大変難しい。我々では解決できないことが山ほどあった。詳しくは、「事業計画の章」で、述べたい。

 ただ、私には一つのこだわりがあった。それはグループ全体の資金の流れに、ある想定を抱いていたのである。

それは、ここ数年、国内の生産規模は、1000万台(2009年のリーマンショック前)規模を続けているが、これは、国内販売台数を大幅に上回る数である。このいびつな構図は長く続くはずがない。いずれ、生産は海外に移転され、国内生産は縮小していくであろう。

そうなると資金の出しては、国内ではなく、世界第1位の市場である米国が出し手にならなくてはならない。今のうちに、米国で稼いだ資金を、次の有力市場である中国ビジネスに使わなければならない。その次はインドである。資金の出してと使い手をこんな風に次から次へと変化させていかなければならない。米国でつまずいたら、全てのシナリオが崩れる。なんとしても米国に「資金の出し手」になって欲しかったのである。

 

企業は、今、グローバル化してきている。資金の「出し手」と 「使い手」は国をまたぐことになる。▲財務責任者は、このことを、長期的に捉え、グループ全体の資金の流れをコーディネイトしていかなければならない。▲そして、このことを「グループ各社の政策」に落とし込むことや、「グローバルCMS ( cash management system )」の仕組みを構築することを忘れてはならない。