前回に続いて、より良い提案をするための「5つのこだわり」の2つ目のこだわりを紹介する。コンサルタントとしても、会社員としても大事な視点であるので、心に留めて置いて欲しい。
私がいた会社はトップがよく代わった。
大手自動車会社のグループ会社であったから、中核会社の事情も加わり交代が多かった。 新しくきたトップは必ずと言っていいほど、従業員の中からキーパーソンからヒャリングを行った。 会社の現状を把握して、自分の路線を引くためである。
しばらくすると、ヒャリング結果をまとめて「当社の課題はこれだ」と発表する。私がいた間に同じ光景が3度あった。 驚くことに、この3度とも同じことを言った。 「時間かけて分析した結果がこれかよ!」・・・と思った。 つまり、この3代のトップは何もしてこなかったことになる。
トップが変わっても会社は変わらない。典型的な事象だ! 変わるたびに施策がリセットされ、また、同じことをやり始める。 4~5年過ぎると「はい次!」と交代になる。
あっ、言っときますが、私が担当した経理財務は変わりましたよ。出向した時は「何もしない経理財務」と言われていたが、5年間でみごと「経営の中枢機構」に引上げましたよ。詳しくはまた別の機会で紹介したいと思いますが、話を元に戻したいと思います。
会社退職後のコンサル業の中でも同じことに遭遇している。それも、何度も遭遇する。 大手企業と違ってトップが何度も代わるということはないが、会社の課題は?・・・と問うと、帰ってくる答えは「もう何年も同じ」という言葉から始まる。 そんな会社に多いのが下のような事象だ。
・夢は語るが、計画を語らない。
(夢に近づく道のりが示されていないので、いつまで経っても夢のまゝ)
・たくさんのスローガンがあっちこっちに貼ってある。
(言っても、いっても変わらないので、次からつぎへとスローガンを増やす)
・「昔はなぁ~」とよく言う。
(変化の多い時代、昔流では人は動かない)
・「あれやれ、これやれ」と怒涛の如くハッパをかける。
(声の大きさで人が動くのではない。プロセスが分らいでは右往左往するばかり)
・・・書き出したらキリがない。 いずれも夢に近づけない会社の特徴である。
なぜ、こんなことが起こるのか?
その答えが、冒頭の図である。
ポイントは、PDCAを回せる環境を作ることです。それには大事なことが2つあります。
①誰もが納得する計画作り
納得しなかったら人は動かない。勿論、人はいくつもの考えを持つもの。それを説得するための情報提供もしなければならない。 会社にとって、いいことも、悪いことも全てを見せることが必要になる。
②計画とアクションプランを作成すること。
計画とは、目的地、道のり、そこまでたどり着くことができる準備と道具建てを示すことです。 アクションプランとは、目的地まで行く過程で、待ち受けるの壁にどんなものがあり、それを、いつまでに、どう乗り越えるのかをスケジューリングすることです。
これなくして、貴方の会社は、いつまでも同じところをグルグル回る羽目となる。
だから私達コンサルタントは、、計画を作るために徹底的に議論します。 この過程で、クライアントさんには厳しいことも言いますし、社長さんにいい加減な妥協をしたりしません。とにかくしっこく食い下がり議論をしていきます。
この前なんかは「すべて否定されちゃぁやってられん!」と怒り出す社長さんもいました。 これは敢えて反対のことを言い、それを理論的に返せるかを見る私の手法なのです。 もちろん、社長さんの態度も想定内のこと。ここで諦めません。
私達は、アマノジャクでもあり、粘着質(友からよく言われる)でもあるのです。
とにかく、いいことも、悪いことも乗り越えて作った計画ほど納得感が得られるものはないと思っています。
こんなこともあるのですよ!
クライアントさんに「事業計画を見せて下さい」とお願いし、持ってきた事業計画を見て『ブールタスお前もか?』と思わず息を呑む。
そこにはギッシリ数字が並んでる。 いくら見ても施策が見えてこない。 こんなに悪いのに、ある日を境に、どんどん良くなる数字が並んでいる。 そう、「今日はダメでも明日はよくなる」と希望的観測の数字の羅列。大前研一氏がいう「ホッケー曲線」というものだ。
我々の苦労はここから始まる。
・まず、現状のまま行くと、経営はどうなるかを予測する。
・ありたい目標値と比べ、ギャップの大きさを見る。
・次に、そのギャップをどう埋めていくかを考える。 一般論ではなく、「市場動向」「競合他社の動き」「自社の力」を見ながら、その会社に最も合ったものを描く。
・そうは言っても、描いた道のりは、山あり、谷ありのいばらの道となることが多い。それをどう乗り越えていくかを考え、時間軸を加えてスケジューリングする。
・・・と、まー、こんな手順でやっていく訳だが、読者の方は「まーなんてメンドクサイことを!」と思われることでしょう。 そう心配することはありません。経営者の貴方の頭の中にはオポロゲながらあるはずです。 それを人に分り易く紙に書くことができないだけです。 我々が、うまく、引き出して見せます。
さーこれで、PDCAを回せる環境ができた訳です。あとはKPT手法などを使って、実施したことを振り返りながらローリングプランを作っていけばいいのです。 夢に近づくためにはこれしかありません。我々はこれに拘ります。
この流れは、サラリーマン個人の目標管理でも全く同じであります。自分流でこのストリーづけできると「奴はできる!」と評価されるのは間違いない。
話は長くなりましたが、より良い提案をするための5つのこだわりは、まだまだ続きます。 3つ目のこだわりは・・・・・・・。