販路開拓は「自社変革計画」そのもの

 最近「販路開拓」の相談を沢山いただく。

▲でもこれって、とても難しいのです。 「世の中、どこも仕事量が減少しているので、仕事量が減っているのは貴方の会社だけではないのです。 だって、生産は海外に移転しまったし、 それに、一度、海外に出たら、つぎ込んだお金(投資)は簡単には回収はできないので、海外生産で突き進むしかないのです。

▲だから、日本回帰なんてことは望めないのです。

▲それに人口減少がどんどん進むでしょうから、生産もおのずと減ってくるのです。 そんな状況で、貴方の会社だけが、仕事量が増えるなんてことはまずないでしょう。」と答えることになる。

 

 私は、「販路開拓」とは「自社変革計画」だと思うのです。

▲今までと同じでは仕事がこないと思って欲しいのです。 今、ご支援している会社さんは、この考えで検討を続けておられます。

▲まず自社の強みは何かと考えることが大事なんですね。 そして、次はターゲットにする市場でのコア・バリューとは一体、何んであるかを考えるのです。

▲さらに、自社の強みを市場でのコア・バリューに近づくように磨きをかけていくことを考えるのです。

これ、「言うは易し」で、実際に考え出すととっても難しいのです。

▲何よりも、その経営者が、この難題に立ち向かう覚悟と、やり遂げる強い意志が必要になってくるのです。 ところが、ここ、静岡県西部地区は長年大手企業より仕事を回して頂いていたから下請け気質がとっても強いのです。 そこに「自社はどうしていくのか?」と問うても、なかなか動かない。 (ごめんなさい。全ての会社さんがそうだとは思いませんが、そういう会社さんが多いと受け取って下さい) 我々仕事仲間も、そんな気質に根負けして、今では、東京を中心に活動されている方もおられます。 

 

さて、話をもとに戻して、

自社の強みを把握している会社さんはなかなかいないですね。 そんな状態で新しいお客さんを紹介しても、まずは、成功しないですね。 新規取引を狙って人脈を頼りにたよって訪問すると決まって言われる言葉がある。

 「あーあなたの会社はこんなものを造っているのですね」

 「ところであなたの会社は何が得意なのですか?」

 「あー、その程度でしたら私達の取引先とおなじですね!」

 「実は、私達も仕事が減って大変なんです。既存の取引先さんに仕事をあてがうこと で精一杯なんですよ」

 「・・・・・」

これで、話はうち切られ、首(こうべ)を垂れて帰路につく。
そんな心当たりありませんか。

 

 そうならないよう、私たちは一生懸命、企業さんと考えています。

ところが、私は「経営戦略」が得意分野ですが、技術のことはさっぱり分かりません。 製造業で自社の強みを検討していくと、必ず技術 (開発、製造技術) のことが出てくる。 私は口ばっかりで、具多的なことは何一つだせない。 言葉だけの判断しかできない。 「ああじゃない、こうじゃない」って言われても、そう思うしかない。 これでは仕事にならない。 どうしよう・・・・。 で、考えついたのが、ここは他の人とコラボしょう! と、 浜松イノベーション推進機構に同じ会社の出身者がおられ、この方が、とても前向きで熱心な方だった。 いま、ご支援している会社さんの「将来技術」について、この方と一緒に、検討を進めている。 進めるたびに、素晴らしい出来栄えになりそうな予感が大きくなってくる。

 

何事も諦めてはだめですね。

ひとりで、ダメなら、他の人から知恵を借りる。

それがでできる人が、成功する。

と思います。

 

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企業への出前セミナーをやります。

また、一つ、準備が進んだ!。
私達が、コンサルをしていて強く思うことがある。▲「いまの世の中、普通のことしてたのでは、他社に勝てない。」 「業界の垣根を越したところに新たなビジネスモデルがある。」 「挑戦することを忘れてはいけない」・・・と思うのである。 ▲自分たちも同じである。 自分の得意分野だけにしがみついていてはだめである。 他を得意とするコンサルタントとコラボすることで、初めて、イノベーションと自分力を超えることができる。・・・そう思って、一歩いっぽ足元を固めながら進んでいる。

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一番進んでいる自動車業界のノウハウを他業界に広める。

▲我等、地元大手企業OBで結成するコンサル集団「ベストブレーン浜松」では、「○○会社IoTプロジェクト」を立ち上げた。 今年初めに袋井商工会議所と協力して実施した「IoTと生産性を考える」セミナーの実施版プロジェクトである。

▲概要は、各種センサーや、動画を屈指して、工場内のあらゆる情報をクラウドに送信して、生産状況を丸裸にしようとするものである。 大手企業では時間と労力をかけて、これらの情報を自ら収集して、改善に役立たせている。 ところが、中小企業はここまで、時間と労力をかけることができない。 したがって、生産効率の「3種の神器」と言われる「山崩し表」「設備と人との組合せ表」「作業標準書」をつくることができなかった。 できないから改善が進まなかった。 ところが、安価なセンサー(今は50円のセンサーも出現)やクラウドコンピューティングの発達で、中小企業でも手が出せるようになってきた。 そこで私たちは「中小企業でも、大手企業と同じ改善手法ができる」と訴えてきたのである。

▲今回のプロジェクトは、その考えを実際に実現させようとするものである。 このての手法は自動車業界がもっとも進んでいる。 私達コンサル集団は、この一番進んでいる自動車業界のノウハウを他業界へ広めようと考え試みている。 そこが、我々と他のコンサル集団との違いである。 多業界の経営課題や、管理ノウハウを知る我々にしかできないことである。
 苦労は多いが「地元企業の発展に寄与したい」を合言葉に頑張っていきたい・・・と、思っている。

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個としてでなく、集団としての良さを出したい!

一緒にやると、いいことが沢山ある。

自分一人だと気が付かないことも、見えてきたりする。

僕はの講義スタイルは、現役時代のままで、まるで、会社の会議みたいになる。

だから、お客様と言うより社員への指示みたいになる。

まだまだ、プロには程遠い。

そんなことを教えてもらった。

www.facebook.com

IoTと生産性を考える

いま、ものづくりは転換期にきている!・・・・と思う。
どこに行っても相談事は「販路拡大」ばかり。
生産は海外に移転しまったし、
国内市場は人口減少でどんどん縮小してきてしまった。
では、なにもすることはできないか?・・・そんなテーマにとりかかった。
その答えがこのセミナーにある。
興味がある方、是非、会場で確認してみて下さい。
・3月19日(月) 15:00~17:00
・袋井商工会議所 3階
・申込みは袋井商工会議所まで

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ワンステップコンサルティングが貴方の会社を救う(2)

前回からのつづき

 

ところが、ところが~、ですよ。

このクライアントさんの持っている強みを守るためには、契約書だけでは足らないのです。 「特許」や、「実用新案権」「商標登録」「ライセンス契約」などと、合わせて考えないと実現できなと思ったのです。 ここから悩みがはじまったのです。

私の得意分野は経営ですので、いわばコーディネイトしかできないのです。法律の実務などは到底無理なこと。 そこで、県の産業振興財団まで出かけて行って相談してみたのです。 そしたら、同じビルの1階に、静岡県発名協会があるというのではないか。 早速、相談したら、快く承諾してくれた。

当日は、2名の専門家がクライアントさんを訪れてくれた。 そこで、経営の立場から守るべき製品と技術について説明をし、その具体的な方法をお教え頂いた。 とても要領よく実務的な回答を頂くことができた。 それを頭に入れて、契約書の原案を作成した。 我ながらよくできたと感心している。 これほど、経営戦略を入れ込んだものは他にはないだろうと自負している。

 

ところが、ところが、ですよ。

 

法律的な側面からみたら、ひょっとしたら手放しで喜べるものでもないかもしれない。

法に抵触することがあるかも知れない。だって、私は、法律専門家ではないので。

ならば、弁護士に確認して貰おうかと考えたが、相談料が高すぎる。 創業間もない中小企業には負担が重い。 どうしょう。 また、新たな悩みが出た。

 

そこで、思い出したのが、公証人役場の先生。 たった1度しかお会いしていないのに、ドア開けた途端、久し気に話かけてきてくれた。 おそらく、白髪姿が共通で、印象に残っていたのだろう。 話はトントン拍子で進み、全面協力してくれることになつた。

このように、一つの案件に4人の専門家が協力して答えを出すことができた。しかも、この間のコンサルフィーは1人分だけ、しかも、全て国からの補助金で賄った。

こんな、コーディネイト力も、コンサルにとっては大きな力である。 今回は外部の専門家同志がうまく連携して成し得たが、ベストブレーン浜松はワンステップコンサルティングを実施できるコンサルグループなのである。

 

かくして、今日、クライアントさんに、最終の契約書をお渡しできることになりました。

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このように、いろいろなことを聞き出し、それを整理し、一つの答えを導き出す。

それが、私たちのコンサル手法です。 ご相談ごとがありましたら、下記連絡先までお知らせください。誠心誠意をもって対応させて頂きます。

www.your-bestbrain.com

 

 

 

 

 

 

  

ワンステップコンサルティングが貴方の会社を救う(1)

ベストブレーン浜松では、基本姿勢の一つに「ワンストップコンサルティング」を掲げる。なぜこれが必要かと言うと、企業の抱える課題はいくつもの問題が重なって、大きな課題になっている。

これらを解決しようとすると、一つの課題を解決しただけでは、真の効果が出てこない。 いくつもの専門分野の先生がたばになって解決しないとクライアントさんには満足して貰えない。

でも、これって、そう簡単なことではないのです。

しかしながら、この手の仕事を、今日、を無事終了することができましたので、皆さんに紹介させて頂きます。

 

まだ、暑さがじりじりする日だった。

某銀行から電話がかかってきた。

「代理店契約についてアドバイスをして欲しい」とのこと。

私は法律の専門家ではないのでお断りしようと思った。

でも相手は大事なお得意さんである。 なるべく、うまく断ろうと、必死に頭を回し、考えた。 真が正直なせいか「嘘八百」は出てこない。 押され気味である。 でもなんとかこちらの意も分かって貰おうと頑張る。 そんなで話も長くなる。 長くなると、違う考えも出てくる。「うぅぅ、まてよ!、そういえば、現役時代に法務室長とよく組んで仕事したよな~ 彼が一緒ならば・・・」と、生半可なまま電話を切った。

 

藁をもつかむ思いで、翌日、私は、法務室長だった彼に電話をした。

「相談したいことあるけどさぁ~、のってくんない~」

珈琲屋らんぷに来てもらった。

私は、いつもの「又一庵のきんつば(一番安いやつ)」を差し出して、彼の逃げ道をふさいでから切り出した。「あのさぁー、こんな話があるんだけどさー、やってみないー」と誘った。 返事を聞くまでもないゴルフ焼けした彼の顔を見た途端「お前、まだ、そんなことしているの、人生短いのだからさ~・・・・」と言うと思った、意外と真面目な答えが返ってきた。 「法律問題って言っても、契約って相手から不利にならないようにすることだから、結局、経営問題なんだよ! だから君の得意分野じゃあないか。 受けて立ちなよ」と。・・・断られたのか、励まされたのか、よくわからなかったが、とにかく背中を押してもらった。 それで、意を決して仕事を受けることにした。

 

そんな流れでクライアントさんとの仕事が始まった。

まずは代理店契約とは、経営問題そのものであることを説明し、いろいろと質問をさせて貰った。 会社の強みのこと、業界のこと、といろいろ聞かせて貰った。

お陰で、商売のポイントが見えてきた。 素晴らしい商品力と技術力で、将来の建築、土木の世界を変えていくことを確信した。

 

ところが、ところがですよ・・・・。

 

つづく

 

 

 

遠州地区NO1のコンサル集団を目指して

今、私達「ベストブレーン浜松」では、日本のものづくり技術を、海外に広めることができないかと考えている。 同じ考えを持つ某商工会議所から声をかけて頂いた。 時おなじころに、私は素晴らしいパッケージベンダーと知り合うことができた。「えっ、そんなことができるシステムがあるのー。知らなかったー。」 聞けば、トヨタに入り込みいろいろと、お教えを頂きながら開発した仕組みだと言う。

 どうりでなー、思った。

私も、トヨタ系の企業にいたので、出会った瞬間、ぴったり感を得た。早速、元居た会社に行き導入を進めた。 とても良い評価だった。 それで、自信をもって、この商工会議所に勧めさせて頂いた。

 ポイントは、システムだけではない。それを使いこなす人材が、私達のコンサル集団にいるのだ。 「システム」と「生産性向上の専門家」のコラボがここに誕生した。

 

このコラボを持って、出前プレゼンに臨んだ。

ベストブレーン浜松のメンバー4人、パッケージベンダー(東京)1人、システムカスタマイズ会社2名と、総勢7名の大プレゼンターで臨んだ。

 

そうなんです。私達は、ベストブレーンメンバーだけでなく、異業種と組んで、より質の高いコンサルをしていくのが、私たちの強みです。  これからも、このスタイルをどんどん広めていきます。 是非、ご期待下さい。

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写真はプレゼン時のもの。ベストブレーンメンバー3人、右端の空いてる席が私。こちら側にはパケッージベンダー1人と、システムカスタマイザー2名が陣取る。

ベストブレーンのHP・・・https://www.your-bestbrain.com/コンサルタント紹介-1/

 

より質の高いコンサルとは何処から生まれるのか?

私が所属しているコンサル集団「ベストブレーン浜松」

この会の代表を務める時に、私は、方向性について3つのことを掲げた。

1.英知結集型コンサル

2.実務・実践型コンサル

3.ワンステップコンサルティング

それが、今、動き出した。

個ではなく、チーム結束力を高めて、より質の高い提案をしていく。

その一歩が動き出した。

写真はある企業でのコンサル風景である。

顔が写っている3人が、我らコンサル仲間である。

この3人は「教育のスペシャリスト」と「現場改善のプロ」そして私が「経営戦略担当」である。 この3人が揃うと、全く違ったコンサルができる。味もある。 「あ~、そうなんだと」思わぬ気ずきも生まれる。 クライアントさんも、1人りより3人の方が楽しめる。・・・・・と、まー、好い感じで仕事が進む。

そもそも、コンサルと言うと、個性ある先生ばかり、それが売りになるので、みんな個性が強い。これだと思う理念を持っている。・・・これが、一つになるのはなかなか難しい。まとめ役としては、疲れもする。悩みも多い。でも、それを上回る結果が出るので面白い。

まだまだ、進むこのスタイルを期待して下さい。

https://www.your-bestbrain.com

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貴方の会社の強みは何んですか?

 これは、私達、経営コンサルが、クライアントさんに最初に語りかける言葉である。

なぜ、こんな語りかけをするかと言うと経営者の考えが良くわかるからである。

 経済動向、業界特性、成功するためのキーポイント、自社能力の見極め、その中で身の丈にあった自分の位置ずけをどうつくっていくか?・・・こんな話を筋道立てて語る方は、そんなに多くはいない。

そこに、私達の出番がある。

一つ、一つ、紐解いていくと、そこに、その会社の生きていける道があることに気づく。 これを、クライアントさんと一緒に考え、実現に向けてその手立てを作っていく。 まぁーこんな流れが、私達がよくやる手法である。

 

ここで、話は大きく飛びますが、

実は、私、今、経営革新グループ「ベストブレーン浜松」と言う経営コンサル集団に所属しているのですが、この11月1日付で、恐れ多くも、このグループの代表を仰せつかることになりました。

素晴らしい経験と実績をお持ちになっている沢山の先輩諸氏がいらしゃる中で、私が指名されたことは大変光栄なことでもありますが、同時に、日増しに強くなる「プレッシャー」を強く感じております。

 

そんな中で、思い出したのが、前述の「貴方の会社の強みは何ですか?」の問いだったのです。  それは、 クライアントさんへの問いかけではなく、自らへの問いかけでした。

 

コンサルの世界に入って、まだ、2年に満たないのですが、この間、必死に動いてきました。 先輩諸氏の動きを見ながら、多くの企業さんから教えられたことや、コンペチターと競い合ったことなど、業界の特性を自ら体験学習することで、一つの答えを導き出しました。

 

その答えがこれです。

www.your-bestbrain.com

 

皆様のご期待に添えるよう、これからも、メンバー全員で努力を積み重ねて参りますので、どうぞ末永いお付き合いをよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

無借金経営の道のり(その2)

目次

13.親子間取引にもビジネスライク感覚を持つ・・・4/17投稿

14.財務改善は全社で取り組む仕掛けつくりが必要・・・4/17投稿

15.人を動かすKPI指標・・・・・・・・4/19投稿

 

 

13.親子間取引にもビジネスライク感覚を持つ

調査に行っていた部下が戻ってきた。
さっそく財務部長に近づいてきて、息を弾ませながら喋り始めた。
「部長!、仰る通りでした。 前々から、なんだかおかしいと思っていたのですが、やっぱりそうでした。」・・・話の内容は、全くわからなかったが、息もせず立て続けに喋る姿から、「これは、何か掴んできたな」・・・と、思った。

しばらくしてから、今度は、ゆっくりした口調で喋り始めた。
「やっぱり、親会社の売掛金が膨らんでいました。」
「国内取引先は大手企業ですから、約束通り支払いをしてくれていました。」
「問題は海外子会社からの回収です。」
「あれだけ約束していたのに、営業はまったくだらしがない。・・・それに僕らも、それをなにも指摘していなかった。」
そのごも、反省と後悔の念がとうとうと続いた。

話を整理するとこんな具合だった。
親子間の決済とは、とかくルーズになりがちである。
それを正そうと、「インボイス・ネゴ」という仕組みを導入した。
これは、輸出手形ではなく、インボイスの状態で、金融機関に割引に出す仕組みのことである。 こうすることで、外部の金融機関を介在させ、親子間の甘えを払拭させようとした先輩財務部長の残した素晴らしい企てであった。

ところが、この仕組みがまわっていないと言うのだ。
昨今の、円・ドル為替の乱高下と、円とドル金利の差も手伝って、財務担当者の頭を悩ませていた。 その結果、インボイス・ネゴをしていなかったと言う訳だ。
「親子の甘え」はあっという間に、悪しき時代に戻ってしまった。

もう一つの問題は、コンテナの空きスペースを無くすために、なんと、オーダー以上の出荷をして、それを請求していたのである。 担当者は輸送コストを引き下げるために良きこととして、実施をつづけていたのである。 これも、根は同じで「親子間の甘え」が起因していた。

財務部長は、この状況を聴き「親子間の甘えの断絶」と「為替管理方法の仕組みつくり」を指示した。

 

 

14.財務改善は全社で取組む仕掛けつくりが必要

もう、一つの調査隊が戻ってきた。
海外生産拠点の生産管理方法を調査していた部隊である。

「部長!、報告します。」
「これは、なかなか難しい問題です。」
「こちらを立てれば、あちらが立たない。・・・・ちょっと、一筋縄ではいきそうもありません。」

否定的な言葉で始まったことに、財務部長は顔を曇らせた。

報告は続く。
「海外は、国内と違って、納入先が遠くはなれています。 とても、多回納入は難しく、在庫を持って納入調整をしなければならない状況が続いています。」
財務部長がすかさず口をはさむ。
「だけど、海外子会社はCIM1(日本と同じ価格)だよな!。 納入価格が同じで、在庫コストがかかるのでは、どこで、この差をとりもどすんだよ!。 そんなに、早く諦める訳にはいかんぞ!」
ちょっと、険悪ムードが漂った。

「そうは、いっても・・・・・」
部下の報告は、とぎれとぎれになってきた。
「仕掛品の中間在庫は日本に比べてどうなんだ。 リードタイムに問題はないのか?。 完成品の在庫が多いのはまだ分かるが、原材料がこんなに多いのはおかしいんじゃないのか? 鉄は日本から持っていくのか?。 現地調達はできないのか?。 高炉メーカーも海外に進出しているのに、なぜ、日本と同じことができないんだ。」


財務部長は、目の付け所を、一気に喋り始めた。

部下は、もう、一言も言えなくっていた。

同時に「財務の仕事の範囲が、このように広いものか」と、自分の狭さを改めて嚙みしめていた。

さすが財務部長である。
それから1週間たった時だった。
「SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)」チームを立ち上げた。
その、責任者には、もっとも鋼材知識に詳しい商社である子会社の社長がついた。
合わせて、日本本社には「売上債権の短縮」を、海外子会社には「在庫圧縮」の目標を事業計画の中に入れさせた。

 こうして、

運転資金の徹底した圧縮は、

ゆっくりではあるが、確実な一歩を踏み出していった。

 

 

19.人を動かすKPI指標

人は簡単には動かない。

「がんばれ!」って言ったって、 「何をどう頑張ればいいのさ!」といった具合だ。

SCM(サプライ チェーン マネジメント)チームを立ち上げたとか、 事業計画に織り込んだと言ったところで、人はそう簡単には動いてくれない。

そんな悩みを解決してくれるのがKPI(キーパ フォ―マンス インディケーター)だ!。

 

財務部長は、この運転資金の圧縮を次のように各部に説明した。

「我社は事業再編投資のために銀行から150億円の借入をした。 この借入を5年で返却をしたい。 それが出来ないようでは、次の拡大投資ができなくなる。 なんとしても5年でかえしたい。」

厳しい顔つきで、瞬きもしないで、前を向いた姿勢から、その真剣さが伝わってきた。

 

財務部長は説明を進めた。 「まずは、運転資金の徹底した圧縮を図りたい。 これを実現させるために、役員会で、C/Fグローバルスタンダードを決定した。 各社、各部とも、この指標の実現に全力を尽くしてほしい。

 

 

無借金経営への道のり。(その1)

目次

はじめに・・・・・・・・・・・・4/16投稿

10.借りた金を返す。・・・・・・・4/10投稿

11.財務部長が下した苦肉の策・・・4/15投稿

12.運転資金は、こう見る・・・・・・4/15投稿

 

 はじめに

この物語は、ある会社が無借金経営を実現するにあたって、臨み続けた実話をベースにして、それを今風にアレンジしてノンセクションとして書いたものである。
登場する人物や、掲げた数字は全て架空のものである。
 私は、若手財務マンが学校で学んできた知識だけでは、実際の場面で動けないことを沢山見てきた。それは、実務は知識だけでなく、実際の場面での経験や実態を感じ取る能力がないと動けないことだと思っている。 まさに、これは、自ら動いて体験することしか得られないことであり。この一歩踏み出すための情報を提供したいと常づね思っていた。この投稿が、その一助になってくれれば大変うれしい。

 さて、話を戻して、本投稿に入る前の状況について若干ふれることにする。
これは、前投稿「これぞ財務部門のキャシュフロー計画」からの続きである。

事業再編にかかる巨額投資を、財務部長は、自己資金と外部からの借入金で賄ったわけだったが、あれだけの大きな融資をまとめた手腕は見事であった。
ただ、一時的にしろ、借入金を導入したことで、過ってのような健全な財務状況は少し後戻りしてしまった。
それを取り返すために、新たな挑戦が、また、始まったのである。
この新たな挑戦とは、「いったいどんな動きをするべきなのか?」
これが、今回の投稿の趣旨である。

 

 

10.借りた金を返す。

前章で説明したように、事業再編にかかる初期投資資金は、自己資金100億円と銀行からの借入金50億円及び増資で、なんとか対応することが出来たと思いますが、今度は、借りた金をどう返すかを考えてみたいと思います。
その額は150億円(設備50億円+海外生産拠点の土地・建屋の一部100億円)と仮定して話を続けます。


財務部長は、もう1年近くも、銀行と話を続けていた。
いままで良好の関係を築いてきた甲斐があり、各銀行も前向きに対応してくれた。
が、やっぱり150億円ともなると、あれやこれやの資料も作らなければならないし、説明も多くなる。そんな状態が1年も続いていたのだ。
身心ともに疲れ切っていた。
やっとの思いで、話をまとめることができたが、休むことはできなかった。
「借りた150億円を5年で返さなければならない」からだ。
これは、銀行から出された条件ではなかった。
これくらいのスピード感を持って、返済をしなければ会社のためにならないと、財務部長自らの想いで、銀行に提示した約束ごとであった。
しかし、その約束を果たすことは、そう簡単ではない。
そう、思うと休んでなんておられなかった。

銀行に提出した資料を前に、当時のことを思い浮かべていた。
「最近こそEBTD/Aは1ケタ止まりであるが、以前は2ケタが続いていたんだから・・・、あの当時に戻れば、5年で150億円の金はぜったい創り出せるはずだ!」(その1-4.「過去分析でキャシュフローのクセを掴む」を参照)

 

「それに、新しいビジネスも加わるのだから、この位のことができなくてどうするんだ~」・・・と、強気に主張したことを思い出していた。

 

財務部長は、早速、数年前の財務体質作りに動き出していた。

 

 

11.財務部長が下した苦肉の策

財務部長は、財務改善の基本は、「利益UP」と「価値増殖循環のスピード」にあることを知っていた。
本来ならば、その両方を同時並行で進めていくべきであるが、
財務部長は「価値増殖循環」の実態調査を部下に指示を出した。
指示を受けた部下たちは「なんで・・・、また、俺たちだけが」と思った。
これは、大量の仕事の移管を受けて現場は大混乱の中にあったので、これ以上の混乱を避けるために、あえて、現場を巻き込むことを避けた指示であった。
財務部長とは、こんな配慮もできなければならない。
とにかく、全体を動かして、初めて成し得ることなので、会社の隅々まで、知っていなければならない。

 

 

 

 

12.運転資金は、こう見る。

財務部長は、財務諸表から運転資金の概要を掴むことを始めた。
数年の財務諸表を並べ、その変化を確認していた。
「うーん、運転資金はほぼバランスがとれているし、問題ないようだな!」
普通はこれでおしまい。次に行こうっとなる。
ところが、財務部長はそうでなかった。
「収支バランスは取れているが、もっと流動資産を圧縮できないものか?」
「財務改善とは資産をトコトン圧縮させて、スリムにすることだよな!」
と、ブツブツ言いながら、資料から目を離さなかった。

 

しばらくして、財務部長はあることに気が付いた。
それは、連結の売上債権は2.0ケ月に対して、親会社は2.5ケ月もあることに「何だこれは!」と思った。
それとは逆に、棚卸資産が連結では0.5ケ月も多くなることであった。親会社は「徹底した在庫削減を展開し0.3ケ月の量で廻しているのに・・・ははぁん~、海外子会社はまだまだ知恵の出し方がたらんな!」と思った。

早速、部下に指示を飛ばした。
「財務は、机にしがみついていたんでは、いい仕事ができんぞー」
「現場にいって見てきなさい」
いつもにまして声高らかに激を飛ばした。

 

 

 

 

 

これぞ財務部のキャシュフロー計画(その3)

目次

7.いきなり「会社全体のキャシュフロー」は算出できない。・・・4/5投稿

8.使える資金量を読む・・・・・・・・・・・・・4/7投稿

9.私だったら、きっと、こう答えるだろう・・・・4/7投稿

 

7.いきなり「会社全体のキャシュフロー」は算出できない。

大手企業ともなれば沢山のグループ会社を抱えているのが普通です。
しかも、親会社などの中枢機関が、グループ各社の資金状況を見ながら、全体をうまくコントロールしています。

それは、各社間で資金を融通し合って余分な外部調達を回避させるとか、外為のネッティング、資金調達の1本化など、さまざまな資金調整を行っています。

ここで、大事なことは、管理単位は各グループ会社ごとだということです。グループ各社をひくっくるめて、その平均値で判断していはいけないということです。

国が変われば「市場動向」も「金融環境」も違うからです。

売上高が同じでも、モデルミックスが変われば、限界利益が大きく変わってくるのと同じように、カンパニーミックスが変われば、やっぱり、全体のキャシュフローも変わってくるのです。

ですから、キャシュフロー計画を作成する場合でも、いきなり会社全体のキャシュフローを作成するのではなく、個々のグループ会社ごとのキャシュフロー計画を作成して、それらを合算する形で会社全体のキャシュフロー計画を作成して下さい。

 

 

8.使える資金量を読む

いよいよ仕事も佳境に入ってきました。
今までは、「自社のキャシュフローを読む」作業を進めてきたわけですが、
これに加えて「外部金融機関からいくら調達できるか」も検討しなければなくなるはずです。
それは、事業再編で移管されてくる規模がとても大きいからです。
お聞きしているところによれば、その規模は「自社と同じくらい」とのことですから、これにかかる資金も半端なものではないでしょう。 自己資金だけでは到底対応できなでしようから、銀行借入も同時に検討しければなりません。

ところが、銀行にはBIS基準というものがあって、財務基盤の弱い取引先にはあまり良い顔をしてくれません。 ただ、今は「金融緩和」の時代ですから、借りてくれるところがあれば、「ここぞ!」とばかりに、行き過ぎた提案をしてくることもあるかもしれません。


やはり、最後は、自分の考えが大事になります。

銀行の与信枠を横目で見ながら、貴方の「適正な財務内容とする指針」を守りながら、構造改革投資に使える額を決定することが大事だと思います。

それでは、以上のことを踏まえて「使える資金枠の算出方法」を下図に示します。

 

 

9.私だったら、きっと、こう答えるだろう!

前章で「使える資金枠を読む」ための流れを図示しましたが、
これを、こと細かに説明していくのは読者にとってつらいことだと思いますので、
ここは、物語風に書いてみますので、楽しみながらお読みください。
なお、このストーリーは、私が勝手に想像したもので、事実とは異なりますのでご注意願います。


コツコツ・・・・
財務部長は、神妙な顔つきで、社長室のドアを叩いた。
「おー、やっときたか。待ってたぞ!」
いつもの優しい声が聞こえてきた。
神妙な気持ちが少し楽になった。

ソファーに腰を下ろし、持ってきた資料を開き、社長の前に指し出す。
資料にはグループ会社のキャシュフロー計画がぎっしり書かれていた。
しばらく、無言のまま、資料を追う社長の目が止まるのを待った。

頃合いを計りながら、静かに話し出す。

「社長、5年先までのキャシュフローを検討してみました」
「残念ながら、海外投資がまだリターンを生むまでに至っていないので、 もうしばらく先行投資の状態が続きそうです。」
「そのため、5年間で生み出されるキャシュは、殆ど期待できません。」

この瞬間、社長の顔が、少し曇ったように感じた。

まずいと思い、話を先に進めた。
「でも、今まで、財務内容の改善に勤めてきましたので、その貯金があります。」
「現預金は130億円程度あります。 適正とされる財務指標の流動比率が100%とすれば、この基準を上回る額が100億円程度になります。」

「それに、自己資本比率は50%を超えるところまで来ています。 これが40%まで下がったとしても、立派な財務内容だと思います。 」
「つまり、この50%と40%の差である10%の範囲だったら、銀行も貸してくれると思います。 総資産が860億円ですから、この10%は86億円程度になります。・・・」

「ですから、手持ち資金の100億円と、借入の86億円の合計190億円程度は使えることになります」

 ここまで、一気に喋った。
社長の顔はまだ明るさを取り戻していなかった。

 まずい、まずい、ここで止まってはいけない。・・・そう思って、
焦り気味に、話をつづけた。

 「今回の業務移管に必要な初期投資は、機械設備と工具類で150億円ですから、これは充分に賄えると思います。 問題は土地、建物の不動産関係にかかる初期投資をどうするかだと思います。 使える資金は、あと40億円しかありませんので・・・ちょっと足りませんね。」

「足らない分は、銀行から借りましょう!。・・・新たに移管されてくるビジネスで、その位の資金は捻出できるでしょう。 5年間でその資金を稼ぎ出せれば銀行も応じてくれると思います。」
「それに、土地、建屋は資本財ですから、親会社からの増資でもいいですよね。 普通はそうすると思いますが・・・・・。 まあー、ここは社長のお考えで・・・」

 

今度は、社長が、小さくうなずいた。
同時に、ある思いを持たれたような顔つきに変わった。

こうして、財務部長は無事、説明を終えて、社長室をあとにした。
そのうしろ姿はちょっぴり寂しそうだった。
それは、今まで、財務内容の改善に必死に力を注いできて、やっと自己資本比率が50%を超えるところまできたのに、また、一歩、後戻りしたことからだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これぞ財務部のキャシュフロー計画(その2)

目次

5.会社にもライフサイクルがある。・・・・3/25投稿

6.ライフサイクルの特性を生かして資金重要を読む・・・4/3投稿

7.いきなり「会社全体のキャシュフロー」は算出できない・・・ 

 

5.会社にもライフサイクルがある。

前章で、先行投資の「効果がいつ出てくるか?」を見極める必要があると書きましたが、「そんなことはできないぞ」っと思われる方もいると思います。

そんな方のために、取って置きの方法を披露いたします。

 

実は、会社にも、人間と同じように「誕生」から「死」に至るまでの間を、幾つかのパターンに区別することができるのです。これを企業のライフサイクルと呼びますが、このパターン毎に「利益」や「資金需要」に一定の形で変化が出て来ます。

 

ちょうど、私達が「成長期」には食欲が旺盛になりエンゲル係数が急騰したり、育児に手が離れた「安定期」に入ると幾何の蓄えができたり、それもつかの間「更年期障害」に悩むようになると医療費の支出が急増して生活難に陥ったりするのと同じようなことが会社でも起こるのです。

 

 

 6.ライフサイクルの特性を生かして資金重要を読む

このライフサイクルでの各ステージに起こる事象を注意深く見ていると、資金の流れが予測できるようになります。

そうです。あの有名なPPM(プロダクト ポートフォリオ)理論と同じなんです。どのステージで金を使い、どのステージになったらキャシュインをさせるかと言うことは、PPM理論とまったく同じです。

この特性を頭に入れて、目を光からせて行けばいいのです。

日頃の会議から得られる情報で、グループ会社別に、事業別に、どのステージにあるかぐらいは充分判断できます。

これをうまく使って、将来の資金需要を予測して行けばいいのです。

例えば、

「この会社は成長期に差し掛かってきたので、まとまった資金をつぎ込み本格的な成長を実現させなければならない」とか、「この会社は躍進期に入ったから、これからは、資金の出し手になって貰わないと!」・・・と言った具合に、会社毎にステージを確認しながら、資金の「出し手」と「使い手」に分けていくのです。

 

 そして、次に具体的な額を見込んでいきます。

まず、グループ各社の「5年先までのフリーキャシュフロー」を算出します。

   フリーキャシュフロー=利益+償却費-設備投資

使う項目は、「利益」「償却費」「設備投資」の3つだけですから、たとえ、事業計画がなくても、日ごろの会議情報でおおよその予測はつくはずです。 

こうして算出されたグループ各社のフリーキャシュフローを合算すれば、会社全体のキャシュフロー計画が完成されたことになります。

 

 

7.いきなり「会社全体のキャシュフロー」は算出できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これぞ財務部のキャシュフロー計画(その1)

1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・3/17投稿

2.なぜ財務部員はキャシュフロー計画書がつくれないのか?・・・3/21投稿

3.さすが財務部と言われるために・・・・・・・3/21投稿

4. 過去分析でキャシュフローのクセを掴む・・・3/25投稿

5.

 

 

1.はじめに

先日、ある企業トップの方から、こんな話を伺った。

「念願だった事業再編に目途が着いた」
「他企業からの仕事の移管もあり、売上が倍増することになりそうである」
「仕事はものすごく忙しくなるが、従業員の頑張りで、なんとかこなすことができそうである。」
「量が増えた分だけ利益も増えるから、経営は素晴らしい結果が残せそうである。」
「ただ、資金がもつかどうかが心配である。こればっかりは、私のような素人ではかたきっし見当がつかない。」

・・・と、大事を成しとげた自信たっぷりの姿の中に、一抹の不安を隠せない複雑な表情を時折見せた。 その姿が気になってしかたがなかった。

私には、この社長さんが心配するのがよくわかった。
私は、総資産の2/3にも膨れ上がった借入金を、11年間かけて、無借金会社にすることができたが、この話を聞き、悪戦苦闘の毎日が走馬灯のように頭の中を走り回った。

たしかに、量が増えれば利益はそれだけ良くなるのが一般的である。
だけど、資金はちょっと違う。
というより思わぬ苦境に立たされることすら起こり得るのである。
このことを社長さんは知っていたのである。

なぜ、そんなことが起こるのかと言うことは・・・次章以降で述べるとして、
ここでは、財務責任者である貴方に問いかけてみたい。

この話を社長から聞いたら、貴方は、なんと答えますか?

 

 

2.財務部員は、なぜキャシュフロー計画書を造れないのか?

上の問いかけに対して、
財務の皆さんの答えを代弁してみたいと思います。

「キャシュフロー計画書を作ることは、そんな簡単なものじゃぁないですよ。」
「だって、利益だってわからないし、設備投資もまだ決まっていなし、それに子会社が○○社もあり各々資金事情は違うんだから・・・。」
「過去の実績を集計するだけでもヒイヒイ言っているのに、集計すべき資料もまだない中で、計画書を作れなんてことは、はなから無理に決まっているでしょう・・・」
「そんなことを財務部に要求する前に、まず、事業そのものを固めてほしいね。・・・規模が急拡大するのだから、①新規の設備投資も必要になるでしょう。 ⓶人だって増やさないといけないし、⓷間接費も今と一緒という訳にいかないし、そもそも、量が増えたからと言って限界利益率が下がるなんてことはないよね?・・・、そこんとこ早くきめてよ!」

ごもっともです。
それに、間違いじゃないし。
私も、永年財務を経験してきましたので、本音は一緒です。

 

 

でも、「できない」なんて言ってたら、会社潰れちゃいますから、

必死にやるしかないですね。

 私も、諸先輩達がこうした場面に立ち向かう姿を何度か見てきました。
ある輸送機メーカーに勤めていた頃です。
経理部に二人の課長さんがいまして、どちらも、優秀な方で、上からの評価も高かったように記憶しております。 勿論、お二人もポスト部長を目指して、熾烈な戦いをしておりました。 それは、近づくと熱気を感じるほどでした。
おりしも、そんな時に、事件は起きたのです。
輸出急拡大で資金需要が激変することになったのです。
そこで社長から出された問いが、「資金は大丈夫か?」だったのです。
この二人の課長さんは、必死に検討して、別々に報告したようです。
それから、しばらくしてからでした。
昨日までライバル同志だった二人が、上司と部下に分かれたのです。

 

こんなドラマチックなことが起きると言うことは、

それほど、会社経営にキャシュフロー計画が大事と言うことに他ならないのです。

 

 

3.さすが財務部と言われるために

 それでは、
利益計画や投資計画がない段階で、
どうしたらキャシュフロー計画書を作ることができるか?
を考えてみたいと思います。

  

 

トップから「キャシュフロー計画を作れ!」と指示が飛んでくるのは、資金需要が大幅に変化する場合や、赤字が続きで資金が枯渇し始めた時くらいでしょう。

後者の場合は、過去にその原因が既に発生している訳ですから、過去分析をすれば、改善策も予測できますから、そんなに難しいことではありませんね。

問題は前者の場合です。

「過去分析」だけでは答えを出せませんので、「これから起こる変化が、どうようにキャシュに影響するのかを予測」しなければなりません。  しかも、予測だけに終わらず、予測される問題について、その改善策も提示しなければなりません。 しかも、皆さんが理解できる形で提示しなければなりません。 

 ここまでやって、初めて財務らしいと言われるのです。

 

 

4.過去分析でキャシュフローのクセを掴む

私達は、将来を考える時、まず、今の自分を見つめ直しますよね。

「このままいったら、将来はどうなっちゃうんだろう!」ってね。

会社の場合も、全く同じです。

今の状態を知らないで、将来を予測することはできません。

と、言うことで、最初は、過去分析をして、キャシュフローのクセを掴むことから始めます。

 

 

上の表は、某企業の実際の数値です。
公表されている「キャシュフロー計算書」を時系列に横に並べただけのものです。
ただ、ちょっとだけ工夫をして並び替えています。
それは、キャシュフローの変動が「利益」と「運転資金のバランス」、「設備投資の状況」で動きますので、それが見えるように並び変えております。

 

このして、見てみると、

運転資金はほぼバランスが取れていますので、今後、規模が急拡大しても、運転資金が大きく足らなくなるといったことはないでしょう。

また、運転資金の下に書かれている「その他」は、「資金ので出入りを伴わない利益の変動」が主なものですが、厚生年金の代行返上してからは大きな変動が見られないので、これも、あまり心配することはないでしょう。

 

問題は、設備資金です。

ここ数年、投資過多(償却を超える投資)になっています。

私達、財務は、安定成長を続けるために、「償却の範囲内で投資」をするように計画をしますが、この会社はこれを超える投資をしています。 その一方、この投資効果は利益が増える形で出てくるはずですが、それがありません。

明らかに先行投資の状況が続いているのです。

海外進出を積極展開しているとお聞きしていますので、この海外進出投資が先行投資の主な理由だと思いますが、効果が出ないままに、先行投資を続けることはたいへん危険なことです。

従って、この先行投資が「いつ効果として表れてくるのか」を確認しなければなりません。このことが将来のキャシュフローに大きな影響を及ぼす可能性がありすので、ここを中心に検討すべきだと考えます。

 

 

5.